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「楽しくも怖かった」「団体でこの借りを返す」世界ランク4位の張本智和18歳はシングルスでなぜ負けた?<男子代表監督の分析>
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph byGetty Images
posted2021/08/02 17:03
7月27日の男子シングルスでは、4回戦でまさかの敗戦となった張本智和。団体戦にて巻き返しなるか?
昨年、ヨーロッパのトップ選手だけが出場できるヨーロッパTOP16カップで準優勝(優勝はドイツのティモ・ボル)した他、東京五輪男子代表団体予選でも第11シードだったスロベニアの代表権獲得に大きく貢献したヨルギッチ。チームを五輪の舞台へ導いた立役者となった。
そのプレースタイルは、ほとんどのボールをバックハンドでフルスイングするのが特徴だが、倉嶋監督は「前回の対戦ではバックハンドのパワーボールをすぐには打たず、1、2回ブロックしてくれた。そこを狙っていたが、今回は1球目から全部カウンターで強いボールが来た。張本はちょっと面食らった部分があると思う」と話す。
早い打球点と速いピッチの高速ラリーで主導権を握る張本に対し、早めに仕掛け張本の攻撃を封じようというヨルギッチのリスク覚悟の戦術が見て取れる。
倉嶋監督「戦術を変える勇気が足りなかった」
果たして張本は戦術転換できなかったのだろうか? もちろん本人は変えようとしたし、ベンチの倉嶋監督も変えるよう指示を出していた。
それを象徴するのがゲームカウント1-2で迎えた第4ゲーム、1-4とヨルギッチにリードされた場面でのタイムアウトだ。
「台上から出たボールに対しては、もっと相手の真ん中(ミドル)を狙っていくのとフォアに強く打っていこうという指示をしたが、なかなかそういうボールが打てず、どうしても(相手の得意な)バックにボールが集まってしまった。そこで山を張られて打たれたボールが多かった」
ヨルギッチのサーブは張本を苦しめた。基本的には長めのバックサーブで張本の武器であるチキータレシーブを封じ、張本がバックサーブに慣れてくると今度はフォアサーブで撹乱した。
チェンジエンドの際、張本はサーブへの対応を倉嶋監督に確認し、相手の3球目攻撃を恐れずバックサーブはとにかくチキータでレシーブするようアドバイスされた。
しかし、ヨルギッチの勢いに押されたまま最終ゲームに入り、最後もバックサーブからフォアサーブに切り替えられて2本連続でチキータレシーブをオーバーミス。ついに勝負がついた。