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「楽しくも怖かった」「団体でこの借りを返す」世界ランク4位の張本智和18歳はシングルスでなぜ負けた?<男子代表監督の分析>
posted2021/08/02 17:03
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
Getty Images
結局、最後は勝つだろう。張本智和のシングルス4回戦を記者席で見守りながら、すっかり油断していた。
18歳にして日本男子のエース。シングルスと団体両方の代表に選ばれた青年は幼い頃から五輪を夢見てきた。しかし夢の舞台のデビュー戦は自身2戦目となった4回戦で敗退という苦い結果に終わった。
世界ランキング4位の張本に土をつけたのは、スロベニアの新鋭ダルコ・ヨルギッチだ。7月30日に23歳になったばかりの若手で、低迷するヨーロッパの卓球界で今、伸び盛りの期待の星である。
世界ランキングは28位。武器は張本と同じバックハンドで、スピードでは張本、パワーではヨルギッチが勝る。加えて今大会では精度も上がり、張本との一戦ではフルスイングにもかかわらずミスが少なく、際どいコースに見事に打ち分けた。
これをブロックの上手い張本でも止め切れず、先にゲームカウント3-2で勝利に王手をかけたにもかかわらず、ゲームオールに持ち込まれてヨルギッチに逆転を許した。
リスク覚悟で向かってきた格下の新鋭
張本が負けた理由は何か。その一番は予想を超えるヨルギッチの出来にあったといえるだろう。
ベンチコーチに入った男子代表の倉嶋洋介監督も、前回、張本がストレート勝ちした2018年ワールドツアー・チェコオープンの二人の対戦を振り返る。
「(ヨルギッチは)2年前にやったときよりも断然、強くなっている。最近ではヨーロッパでもトップ4に入るくらいの実力を持っているので、すごく警戒していた選手。危機感は持っていました」