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「楽しくも怖かった」「団体でこの借りを返す」世界ランク4位の張本智和18歳はシングルスでなぜ負けた?<男子代表監督の分析>  

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高樹ミナ

高樹ミナMina Takagi

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posted2021/08/02 17:03

「楽しくも怖かった」「団体でこの借りを返す」世界ランク4位の張本智和18歳はシングルスでなぜ負けた?<男子代表監督の分析>  <Number Web> photograph by Getty Images

7月27日の男子シングルスでは、4回戦でまさかの敗戦となった張本智和。団体戦にて巻き返しなるか?

 自国開催の東京五輪に向け、張本という類まれなる才能を手塩にかけて育ててきた倉嶋監督は言う。

「調子は悪くなかった。でも気持ちの切り替えだったり、戦術を変えていく勇気だったりが足りなかった。そこを切り替えていくのが卓球の醍醐味。張本もある程度はできていたが徹底することができないので、相手を崩すところまで持っていけなかった。今日の相手選手のバックハンドが非常に良かったというのが一番の印象です」

初めての五輪シングルスは「楽しくも怖かった」

 一方、本人はこの敗戦をやけに冷静に受け止めていた。過去には全日本選手権や世界選手権などの大勝負に負けると人目もはばからず泣きじゃくっていた張本。高校3年生になって少し大人になったせいもあるのかもしれないが、どこか冷めているような雰囲気が少し気になった。本人の受け止めはこうだ。

「楽しくも怖かったという感じ。もちろん夢の舞台で楽しさはあったんですけど、普段の思い切ったプレーができずに終わってしまった。でも後悔というのはない。ちゃんと今やれることを、出し切れない中でも出し切ったと思うので。本当に相手が強かったです」

 楽しくもあり、怖くもあった。思い切ったプレーはできなかったが後悔はない。出し切れない中でも出し切れた。

 裏腹に聞こえるいくつかの言葉にはコロナ禍でほとんど試合経験が積めず、現在の実力を確かめられないまま自身初の五輪を迎えてしまった戸惑いがにじむ。

 もう子どもじゃない。だからといって大人でもない18歳。

 2日に日本が初戦を勝利した男子団体。「この借りを返したい」と意気込む張本には、ちょっぴり肩の力を抜いて本来の思い切りのいいプレーを見せて欲しい。せっかく掴んだ夢の舞台なのだから。

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