欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
監督交代は意味がない!? 50年間の統計では「効果は何もない」という結論も、その成否を分ける決定的な要素とは?
posted2021/07/31 17:00
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
どんなスポーツでもそうだろうが、結果がついてこなければ「監督交代」が議論のテーマとなる。
欧州サッカー界であれば、優勝争いに始まり、CLやELの出場権を巡る戦い、そして残留を懸けた熾烈な争いがある。
勝てない時期が続けば、不安が増す。「このままではダメなんじゃないか」という不信感が人間関係を揺るがす。そうした嫌な流れにブレーキをかけるために、クラブは指揮官を代えるという決断を下すのだ。
マインツは連敗中も優れた数字を残していた
実際に交代策が功を奏したケースもあるが、さしたる変化も見られないまま……ということも実は少なくはない。
統計学者のアンドレアス・ホイアーは、過去50年間のブンデスリーガにおける150件の監督交代前後の成績の統計をとり、監督交代の効果について調査した。
「結果から言うと、監督を交代することでもたらされるものは“何もない”です。私が調べたデータによると、ほとんどのチームは監督交代後に成績が向上していません。その一方で、成績が悪かった監督を続投させたことで、成績が上向いたケースがあるわけです」
監督交代の効果はない!?
果たして、本当だろうか。監督交代にはそれこそいろいろな理由がある。選手との確執、スポーツディレクターや会長とのいざこざ、あるいはファンからの不人気といった場合もある。
例えば、2020-21シーズンのマインツは開幕から14試合を戦い、勝点はたったの6だった。成績不振を理由にアヒム・バイエルロルツァー監督が解任されて、2人の暫定監督を挟んで、新監督としてボー・スベンソンが就任した。そして、そこからの14試合では勝点22を獲得している。