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“韓国の握手拒否騒動”をかばったNZの苦労人エースは“侮れない日本キラー” 4年連続プレミア2ケタ得点の決定力〈五輪サッカー〉
posted2021/07/31 06:01
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph by
Takuya Sugiyama
ニュージーランドのスポーツにおいて「白」という色は極めて稀有な存在だ。
世界最強国の称号をほしいままにするラグビー代表チームの愛称はご存じ「オールブラックス」。それだけではない。バスケットボールは「トールブラックス」、クリケットは「ブラックキャップス」、さらにホッケーは「ブラックスティックス」と、ありとあらゆるスポーツの代表チームが「黒」をチームカラーとしている。
黒の対称である「白」をチームカラーとしているのがサッカー・ニュージーランド代表。通称「オールホワイツ」だ。
1982年スペインワールドカップ予選で全身白のキットを着用したことから、ラグビー代表チームになぞらえて、メディアやファンの間でそう呼ばれるようになった。それまでは白のシャツに黒のパンツと、イングランド代表に寄せたスタイルだったが、この時期を境に真っ白のユニフォームが定着していったのである。
そんなオールホワイツが、現在日本に上陸している。東京オリンピックに出場しているU-24ニュージーランド代表だ。
グループBを1勝1分1敗の2位で終え、決勝トーナメント進出。31日にはベスト4をかけて開催国の日本と対戦する。
“握手拒否”に「何も心配することはないよ」
初戦の韓国戦では1-0で勝利したが、試合後に起きた一幕が物議を醸した。
ニュージーランドの選手が健闘を称えて求めた握手を、韓国の10番イ・ドンギョンが拒否したのだ。このスポーツマンシップに反する行為は国内外のメディアで批判の的となった。今回は拒否「された」側、というと聞こえは良くないが、もうひとりの選手に焦点を当てたい。
少し驚いたあと、困惑した笑みを浮かべた9番。実は彼、ニュージーランド随一のスタープレーヤーなのである。
「彼は(試合に敗れて)がっかりしていただけで、何も心配することはないよ」
「失望というか、COVID-19に対してそれだけ慎重になっているということで、それでいいと思う」
大人の対応どころか、23歳の青年をかばう優しさも見せた男の名はクリス・ウッド。プレミアリーグのバーンリーに所属する191cmの大型ストライカーだ。