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サッカー五輪監督が向き合った“批判と失敗” 遠藤航、吉田麻也や酒井宏樹らを率いた手倉森誠・関塚隆・反町康治の対応は…
posted2021/07/25 06:02
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
JMPA(2),Takuya Sugiyama
雑誌「Sports Graphic Number」と「NumberWeb」に掲載された記事のなかから、トップアスリートや指導者たちの「名言」を紹介します。今回は五輪サッカー代表監督にまつわる3つの言葉です。
<名言1>
日本はオリンピック予選とか本番で、ようやく本気になる。その舞台で結果を出したり、打ちのめされたりした経験を糧に一気に代表に成長する流れができているじゃないですか。それを、もっと早めないといけない。
(手倉森誠/Number879号 2015年6月4日発売)
◇解説◇
U-23日本代表の手倉森誠監督は2014年に就任(当時はU-21代表)、その翌年のインタビューで、若手育成の遅さを指摘していた。
「世界の強豪国はFIFA U-20W杯経由A代表ですが、日本はオリンピック経由A代表。つまり、3年くらい育成部分の教育が遅れているのです」
日本では、育成年代は勝利至上主義に走るよりも、むしろ技術を伸ばすことに主眼が置かれていた。しかし「球際が弱く、ヘディングやスライディングが苦手で1対1に勝てない」「若い世代は、戦うことを教わっていません。上手ければプロになれるという流れです」。テクニカルな指導の重要さは認めつつも、早い段階から「勝負に勝つための指導」を行うことの重要性を説いた。
戦える選手が必要だ――そう説いた手倉森の言葉を今最も実践しているのは、遠藤航だろう。
ブンデスリーガのデュエル勝利数でNo.1となった“マスター”は中盤の欠かせない軸となり、東京五輪でも田中碧とダブルボランチを組んでいる。充実一途の遠藤なら、5年越しのリベンジを果たしてくれるはずだ。