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25年以内にイングランドで23のスタジアムが水没!? 気候変動に対し欧州サッカー界が講じるエコ活動の実態
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byL’Équipe
posted2021/06/27 17:00
リヨンのグルーパマ・スタジアムの駐車場に設置された太陽光発電システム。同様の取り組みが、様々なスタジアムで広がっている
ジャーナリストであり環境保護のエキスパートでもあるマチュー・カンペリが述べているように、フランスサッカー界は環境保護において優等生であり、世界的には第3位にランクされる。だが、サッカー界全体を見れば、戦いは始まったばかりである。航空会社(エミレーツ航空やエティハド航空)やエネルギー会社(ガスプロムやトタル)がビッグクラブのオーナーになり、国際団体の有力なスポンサーになっているのが現状である。
「意識の変化はいたるところで生じている」とゴールドブラットは指摘する。
「FIFAやUEFAのような国際団体においてすら、消費の変化やインフラストラクチャーについての考え方が変わりつつある。
都市と地方の格差
だが、他方で問題は軽んじられている。ひとつ例をあげれば、私はブリストル・ローバーズのサポーターだが、公共交通機関を使ってスタジアムに行こうとしたら、2度の乗り換えの末に中心街に出るまでに1時間を要する。しかし車ならば10分とかからない。だから私は車でスタジアムに通っている。小さなクラブのサポーターの82%が私と同じことをしている。問題を本当に解決するために、地方公共団体が果たすべき役割は大きい」
3カ月ほど前、EURO2024のディレクターを務めるフィリップ・ラームは、3年後にドイツで開催される大会は「サッカーの歴史において最も環境にやさしい大会になる」と宣言した。
ゴールドブラットは次のように結論づける。
「変革は難しい。なぜならそれは、最も裕福な人々が生活態度を改めなければならないからだ。だがサッカーはアイディアを生み、行動様式を変えていく触媒となり得る」
そうであることを心から願っている。