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25年以内にイングランドで23のスタジアムが水没!? 気候変動に対し欧州サッカー界が講じるエコ活動の実態 

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ティエリー・マルシャン

ティエリー・マルシャンThierry Marchand

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posted2021/06/27 17:00

25年以内にイングランドで23のスタジアムが水没!? 気候変動に対し欧州サッカー界が講じるエコ活動の実態<Number Web> photograph by L’Équipe

リヨンのグルーパマ・スタジアムの駐車場に設置された太陽光発電システム。同様の取り組みが、様々なスタジアムで広がっている

 予兆はすでに現れている。2015年、ストーム・デズモンドがもたらした大雨は、カーライル・ユナイテッド(イングランドフットボールリーグ2=4部に相当)のホームスタジアムであるブラントン・パークを7週間にわたり水没させた。またモンペリエの市民であれば、誰もが今世紀はじめ(2003年12月)のラ・モッソンの浸水をよく覚えている。

 だが、こうした災害の最大の被害者は、老朽化した施設を使用しているアマチュアクラブであろう。このまま事態が悪化していけば、悪天候により最悪で毎年5週間スタジアムが使用不可能となる。

 気候変動が、そうしたカタストロフィの原因である。その影響はサッカーばかりに限らない。台風は2019年に日本でおこなわれたラグビーワールドカップを中断させたし、テニスの全豪オープンは昨年、山火事により開催が危惧された。世界中の科学者が集結して1988年に創設された《気候変動に関する政府間パネル(IPCC)》によれば、気象異常は全世界に影響を与え、それはスポーツの世界にも大きく及んでいる。

 強いサイクロンや33度を超える高温は、アスリートの精神状態や判断力、集中力に多大な影響を及ぼす。脱水症状を起こせば心臓まひも併発しかねない。また芝生の状態やインフラストラクチャーなど、スタジアムにも影響は恒常的に及ぶ。スポーツをとりまく環境、とりわけサッカーをとりまく環境のためにも、地球温暖化に歯止めをかけ、安定した社会を維持していくために何かをなすべきときを迎えている。

「今、変えていかなかったら、破滅に向かって突き進むだけだ」と、ゴールドブラットは警鐘を鳴らす。

「コロナ禍は、世界が迅速かつ適切に危機に対応できることを示した。コロナの流行が、より迅速な変革のためのプロセスを加速しうると思う」

 地球の保護を訴える慈善団体であるワールド・ランド・トラストは、昨年8月にリスボンでおこなわれたCL決勝ラウンドでは、7000トンの二酸化炭素が排出削減されたと発表した。それはサッカーにおいて排出される二酸化炭素の70%が、サポーターの移動によって生じることを示している。

環境先進国ドイツの場合

 この領域において一歩抜きんでているのがドイツである。ドイツでは複数のサポーターグループが環境協約に署名している。またブンデスリーガでは、マインツとフライブルクが10年前からリサイクルと再生エネルギー利用を率先しておこない、ブレーメンは太陽光パネルを設置し、ベーザー・シュタディオン周辺での自動車の駐車を禁止。サポーターたちには主にボートなど、よりエコロジカルな移動手段を提供している。

 ホッフェンハイムは森林や再生可能繊維など、様々な環境プロジェクトに投資している。アウクスブルクは地熱を利用してWWKアレナの電力を賄い、カーボンゼロスタジアムにすることを目指している。さらにヴォルフスブルクは、MLSのLAギャラクシーやポートランド・ティンバースらと同様に、国連の《スポーツを通じた気候行動枠組み》に参加している。

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