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物理の授業は英語、大学レベルの実験の日々…堀池巧らOBが驚く清水東「理数科の10番」、古豪復活を託された秀才高校生の決断とは 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2021/06/24 11:02

物理の授業は英語、大学レベルの実験の日々…堀池巧らOBが驚く清水東「理数科の10番」、古豪復活を託された秀才高校生の決断とは<Number Web> photograph by Takahito Ando

全国の切符をかけたインターハイ静岡県予選決勝で静岡学園に挑んだ清水東

 県立高校である清水東には当然、サッカー推薦はない。前述したOBが現在のサッカー界の要職を担っていることからも分かる通り、サッカーの実力があったとしても「文武両道」を体現できる者でないと清水東サッカー部の門はくぐれない。現在でも静岡県でトップ3に入る偏差値の進学校としての顔があるのだ。

 OBでもある渡邊勝己監督は当時と現状の違いを説明する。

「今と違って、当時は良い大学に行くなら良い進学校に行かないといけない風潮があった。それに加えて『学区制』もあり、県内の中でもサッカーが特に盛んであった清水地区でそれを目指すのであれば、清水東の人気が高かった。文武両道で成功したいという意欲を持った選手が集まってきていたと思います」 

 だが、2008年度に静岡県内にあった10の学区は廃止。さらに入試形態もAO入学など、受験のアプローチも多彩となったことで、サッカーに特化した高校やJクラブユースから名門大学に進学するケースが増えた。

「技術レベルの高い選手は、サッカー部強化に乗り出す高校やJクラブの下部組織に進むようになった。特に静岡はその選択肢が多い。Jユースだけを見ても清水エスパルス、ジュビロ磐田、藤枝MYFCやアスルクラロ沼津……昔のようにトップクラスの選手がどんどん入ってくるような状況ではなくなっています」

 さらに近年は3年生が夏のインターハイ予選を最後に引退し、受験に専念するケースが加速していた。例年30〜35人ほど在籍するが、夏以降に部に残るのはだいたい7〜8人。プレミア、プリンスリーグに次ぐ県リーグ1部で苦戦して降格した一昨季は、3年生はわずか4人しか残らなかった。昨季は昇降格のレギュレーションがなかったため、現在も2部リーグを戦っている。

清水東のスタイルは何か?

 渡邊監督は、2001年から5年間、母校で定時制の教師をしながらサッカー部のコーチに就任。内田らの世代を3年間見守った後、同県の富士東高校を経て、15年に清水東にコーチとして復帰、翌17年に監督に就任した。長澤和明ヘッドコーチと共に強化にあたり、就任1年目からチームを19年ぶりの県予選決勝に導いた(静岡学園に0-1で敗戦)。今回のインターハイ予選も同じ静岡学園を前に全国切符を逃したが、2部リーグに在籍するとはいえ、間違いなく「古豪復活」の機運は高まりつつある。

「ありがたいことに、時代の流れは変わっても『清水東で文武両道を実現したい』、『古豪復活をさせたい』という気概を持った選手たちはいる。それを僕ら指導者がどう生かしていくか。藤枝東のパスサッカー、清水桜が丘の力強さ、静岡学園のテクニックと、それぞれの学校に特色がある。じゃあ清水東はどうなのか。勉強もきちんとできて、真面目な選手たちが真面目に粘り強くサッカーに打ち込むことこそが清水東のスタイルなのだと。それを根底に持っていないといけないんです」

【次ページ】 OBたちが驚く「理数科の10番」

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