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「箱根駅伝常連校」の変化、慶応と立教に“急激な成長”の予感? 「駒大一強」時代のレースに見た夏合宿前のチーム事情
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySatoshi Wada
posted2021/06/23 11:02
全日本大学駅伝関東選考会で日本人2位に入った東京国際大・丹所健(中央/4番)。同校は1位で本選出場を決めた
「今回の予選会をトップ通過できないようじゃ」
そして、2位の國學院大はいま伸び盛り。2019年の出雲駅伝で優勝、昨年の箱根駅伝では3位に入り、今年入学した1年生は実績十分で、強豪校としての橋頭堡を固めつつある。今回の予選会も、3組目を終えて首位。東京国際大とは1分49秒57の差をつけていたが、エース級が集結する最終第4組で藤木宏太(4年/北海道栄)、島崎慎愛(4年/藤岡中央・群馬)が上位グループに絡めず、総合で2位となった。
レース前、前田康弘監督は「今回の予選会をトップ通過できないようじゃ、駅伝では戦えないよね」と学生たちに話しており、学生たちは2位通過にも重たい表情だった。
実は、5月に行われた関東インカレでは、最終日に行われた5000mを藤木、島崎、中西大翔(3年/金沢龍谷・石川)が棄権し、全日本の予選に注力していた。前田監督は、
「いろいろな考え方があると思いますが、ウチの場合、全日本の予選会に参加する場合は、上期最大のターゲットと捉えて練習計画を組んでいます」
と話し、あえて関東インカレをスキップしてまでも、全日本に備えていた。中西は1組目で1位とはなったが、準備を重ねていただけに、2位通過は満足できる結果ではなかった。
前田監督「どこかに過信があったんでしょうね」
冷静になって見ると、数年前の國學院大ならば、2位で部員たちは喜んでいたことだろう。しかし、箱根で3位を経験した以上、この結果は納得できるものではなくなった。前田監督はいう。
「上を目指す過程では、避けられないことかもしれませんが、どこかに過信があったんでしょうね。2組目で走ったキャプテンの木付(琳・4年/大分東明)は、ケガ明けなのに、5000mの時点でひとりで仕掛けて自滅してしまい、2組目で16位でした。もうちょっと我慢して、8000mあたりで仕掛けていれば、潰れることはなかったでしょう。そうすれば、チームもトップ通過ですよね。キャプテンであることの気負いがマイナスに働いてしまいました。藤木、島崎のふたりも力を発揮できず、4年生にとっては考えることもあるでしょう。ただ、ここで天狗にならなかったことで、夏合宿でもう一度攻めることが出来ると思います」
強豪は一夜にしてならず。アップダウンを繰り返しながら、力を蓄えていく。