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【ラグビー日本代表】「ONE TEAM」になるプロセスをもう一度…ライオンズ戦&アイルランド戦で勝利以上に大事なことは? 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2021/06/18 17:01

【ラグビー日本代表】「ONE TEAM」になるプロセスをもう一度…ライオンズ戦&アイルランド戦で勝利以上に大事なことは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

2019年W杯に続き、主将を託されるリーチマイケル。フランスW杯へ向けたサバイバルがいよいよ本格化する

 2023年大会のことを考えると、いまはいろいろなことを試す時期である。

 むしろ、ここからの1年間が重要で、前回のキャンペーンでは、2018年夏のイタリア戦ではある程度メンバーが固まり、秋の遠征ではイングランドに健闘を見せた。

 今年9月から始まる合宿、そしてテストマッチが極めて重要な意味を持つ。

 ここで忘れてならないのは、2019年大会で得た課題だ。CTBとして大活躍した中村は言う。

「W杯のベスト8に残ったチームの中で、優勝を目指していなかったのは日本だけだったと思うんですよ。他の7カ国はそこからが本番。でも、日本はそこまでの準備はできてなくて、僕自身も体と気持ちの準備がなかなか整いませんでした。ベスト8に進出したことで、そのことを身に染みて感じたのが大きな財産になると思います」

 8強から上を目指す上で必要なのは、選手層の構築である。前回大会で、日本は選手をローテーションしながら戦うような戦略は取れなかった。必然的にレギュラー陣に負担がかかり、準々決勝ではベストのコンディションでは戦えなかった。

 2023年大会では選手の登録枠が31人から33人に拡大されることもあり、この2年間で、スコッドの質を高めていかなければならない。

サンウルブズ戦の平均年齢は30.8歳

 そのうえでの懸念もある。

 先日のサンウルブズ戦のメンバーは、2019年組が中心となっているが、先発メンバーの平均年齢が30.8歳と30歳を超えていた。2017年と比べて、そのまま4歳ほど上昇している。

 20代の選手を探した方が早く、先発では2番坂手淳史(27歳)、5番ムーア(28歳)、13番ラファエレ(29歳)の3人しかいなかった。

 リザーブメンバーでは、インパクトプレーヤーとして印象を残したテビタ・タタフ(25歳)、日本らしいSHとして成長が期待される齋藤直人(23歳)、昨季の大学王者、天理大から近鉄に進んだシオサイア・フィフィタ(22歳)といった面々の台頭に期待したいが、サンウルブズで活躍したメンバーをはじめ、全体で底上げしていくことが必須となるだろう。

 ジェイミーは「今回の遠征をスタートとして、9月からのおよそ16週間にわたる合宿、遠征で選手の力を高めていき、ビジョンを共有したい」と話しており、今回の遠征に参加しなかった選手たちにもチャンスはある。

 ここから2023年に向け、どのように日本代表が作られていくのか、じっくりと見ていきたい。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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