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【ラグビー日本代表】「ONE TEAM」になるプロセスをもう一度…ライオンズ戦&アイルランド戦で勝利以上に大事なことは?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/06/18 17:01
2019年W杯に続き、主将を託されるリーチマイケル。フランスW杯へ向けたサバイバルがいよいよ本格化する
今回の選手選考は、ジェイミーのコンセプトを理解している選手たちを中心に選ばれた。ジェイミーは、「準備時間が短いので、アタックに関してはシンプルに構築するつもり」と話している。
歴史的な対戦となるライオンズとの試合に焦点が当たりがちだが、アイルランド戦も重要だ。アイルランド代表は、ライオンズにFW5人、BK3人と中心選手を送り出しており、フルメンバーがそろっているわけではない。日本としては、ライオンズ戦を経て、いい状態でアイルランド戦に臨みたい。
強化を着々を進める南北の列強
コロナ禍にあって、日本代表のスタートが遅れたのは仕方がないが、2023年に向けて各国の動向はどうなっているのか。
昨年の秋から欧州では「オータム・ネーションズ・カップ」、そして年明けには「シックスネーションズ」が行われた。シックスネーションズではウェールズが優勝したが、もっともエキサイティングなラグビーを披露していたのは2位のフランスだった。そしてエディー・ジョーンズ率いるイングランドが5位に沈み、人事の話がメディアに飛び交った。
南半球に目を移すと、2019年W杯の優勝国・南アフリカは7月からのライオンズ戦が実質的なスタート。ニュージーランド、オーストラリアは新しいヘッドコーチの下で再スタートを切り、次のW杯で日本と同組となるアルゼンチンは、昨年の11月14日に、史上初めてオールブラックスを破って意気軒昂だ。
南北の列強と比べて日本の始動が遅れたのは否めないが、私は悲観していない。
2015年のW杯後の強化プロセスを振り返ってみると、ジェイミーとアタックコーチのトニー・ブラウンは、スーパーラグビーのハイランダーズでの仕事があったため、日本代表の現場での指導にあたり始めたのは、2016年の秋からだった。つまり、前回のキャンペーンと比べると、半年ほどの遅れでしかない。