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前季比「約20%増」故障者が続出した今季のラ・リーガ…なぜ“ふたつのマドリー”は明暗を分けたのか
posted2021/06/08 17:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
2020-21シーズンを特徴づけた過密スケジュールと新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)は、スペインのラ・リーガ1部チームにどれほどの影響を与えたのか。
ケガは各クラブで序盤から続発し、最初の100日間で250件も発生した。リーガ前季の同期間(188件)と比べると約33%増だ。
監督たちは日程を決定しているリーガに苦言
UEFAは毎年、試合と練習それぞれ1000時間あたりの故障発生数(任意の20以上のクラブをサンプルにしたデータ)を発表しているので、19-20シーズンの発生率(19年7月から20年3月まで)と100日間の試合・練習時間を用いて計算してみると、やはり約34%増。COVID-19が存在しなかった18-19シーズンとの比較では、約67%増である。
かつてない苦境に頭を抱えることになった監督たちは日程を決定しているリーガに苦言を呈したが、『マルカ』紙は「例年より短い休暇とプレシーズン」「FIFA国際マッチデーの増加(スペイン代表の場合、19年は6試合で昨年は8試合)」「練習計画がCOVID-19に翻弄される状況」を要因に挙げていた。
そして、シーズン末までの発生率をさらに上げ得る因子として次の4つを並べた。
・厳しいスケジュールやCOVID-19によるストレスおよび精神的な疲れ
・選手の減俸に繋がるクラブの財政難
・通常のケガに加え、COVID-19対策にも時間を費やさねばならないメディカルスタッフに対するクラブのサポート不足
・COVID-19から回復した後の血栓症やコンディション不良
では、シーズン終了後に同紙に掲載されたレポートの内容を紹介しよう。
最終的な故障数はソースによってばらつきがあるが(回復に要する時間を基準とする等)、『マルカ』紙は701件としていた。
今季の1部20チームの総試合時間と総練習時間に、先のUEFAの19-20シーズンの故障発生率を当てはめると580.36件になるので、約20%増。18-19シーズンの発生率では491.11件の約43%増だ。
最初の3カ月よりはマシになったのは2月、3月に試合が少なかったことや、各チームが故障防止の努力を怠らなかったことが理由だろう。『マルカ』紙はケガに対するCOVID-19の影響が1月末以降右肩下がりとなり、4月末からは激減したとも分析している。