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初優勝・千葉ジェッツは“プロにあるまじき姿”と批判を浴びた4年前からどう変わったか 「あのときとの最大の違いは…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2021/06/04 11:00
千葉ジェッツはBリーグ悲願の初優勝を遂げた。その背景にあるチームの成長とは
厳しいことを言い合ってもリスペクトし合えるチーム
この時期からは、ジェッツにかかわる者たちが「勝利への欲求」というキーワードや、それに類する言葉をこれでもかというほど口にするようになった。Bリーグ開幕からの5年間でHCから選手までが、ここまでシンクロするようなメッセージを発したことは初めてだった。
言葉だけではない。
CS準決勝。沖縄アリーナという、日本で最高のアリーナにアウェーチームとして挑んだタイミングでも、キャプテンの富樫勇樹は、勝利への執着心を見せ続けた。
プレー中に原修太が自身の求めたのとは違う動きをして、パスがラインを割ると鬼の形相で叱咤した。ベンチに座っているときでもそうだ。シャノン・ショーターが守備時のチームルールを守らないのを見つけると、ベンチから立ち上がり、HCよりも前に立ってコートに片足を踏み入れるくらいの勢いでそれを指摘していた。
対戦相手にまで色々なことを考えさせるほどの行動だった。琉球ゴールデンキングスの並里成は、来シーズンの自分に課すものとして、勝利への渇望と厳しさを挙げた。
「千葉さんはすごく良いチームですね。僕もbjリーグやJBLのときに優勝しましたけど、練習中から切磋琢磨して、言いたいことを言いあって、共通理解は生まれてくるんです。勝負の世界では、心を鬼にして、チームメイトに言わないといけないときもあります。だから、厳しいことを言い合っても、お互いに嫌いにならず、リスペクトし合えるチームを、これから作っていきたいなと思っています」
かくも厳しい叱咤激励が生まれつつ、勝利をつかんだことが、チームの成長を証明していた。
試合中に選手同士が口論になり批判を浴びた4年前
4年前、CS準々決勝の栃木(現・宇都宮)戦でのこと。GAME2で最大で22点ものリードを奪いながら、CS史上に残る逆転負けを許して涙を飲んだ。あのときは、試合中に選手同士が口論するという、プロにあるまじき姿を見せて批判を浴びていた。
「最大の違いは、今は、目的が統一されているということです」
そう明言した大野は、理由をこう解説する。
「目標がバラバラだったら、厳しいことを言われれば『なんでこんなことを言われなきゃいけないんだ!?』となると思います。でも、目指すところが一致しているから、責任感をもって指摘できるし、受け入れられる。そして、その指摘をきっかけに気づくこともあるし、より良くなるためのディスカッションも生まれます」