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初優勝・千葉ジェッツは“プロにあるまじき姿”と批判を浴びた4年前からどう変わったか 「あのときとの最大の違いは…」
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byB.LEAGUE
posted2021/06/04 11:00
千葉ジェッツはBリーグ悲願の初優勝を遂げた。その背景にあるチームの成長とは
本当に大事なのは、点数を取っている選手だけではない
今シーズンのレギュラーシーズン最高勝率を記録した宇都宮は犠牲心とお互いを評価できるカルチャーを持つ。チーム全員で手をつなぎ、大きな輪を作って戦う素晴らしいチームである。
ジェッツのカラーは少し違う。彼らは、自分にしかできないことを各自が持ち寄ることで戦うチームだ。
例えば、レギュラーシーズン最終盤、5月2日のアルバルク戦。延長戦にもつれ込み、111-109で勝ったのだが、富樫はこう振り返っている。
「111点中の105点を5選手がとっていたんですけど、それは千葉らしい勝ち方です。本当に大事なのは、点数を取っている選手だけではない。原(修太)や(佐藤)卓磨のようにディフェンスで貢献できる選手がいるから、こういう勝ち方ができていると思うので、それが千葉の強みだと思います」
ジェッツは15人の選手がそれぞれの武器を矢のように研ぎ澄ます。その上で、15本の矢を結集して戦いに挑むチームなのだ。そういうスタイルだから結束が緩み、いくつかの矢がこぼれ落ちることはこれまでにもあった。
でも、今季はその矢が「勝利への欲求」というバンドによって強く結ばれた。そしてその結束力は、終盤にむかうにつれて、CSでのタフな試合を勝ち続けるにつれて、強固なものになっていた。はたから見たら15本の矢が集まっていることなどわからないくらい太い、1本の矢になれた。最後に勝ちきれた要因はそこにある。
試合日のロッカールームではいつも、いち早く口を開くのが、34歳で経験豊富な西村文男だ。彼はこう話す。
「もしも休みの日だったら、一切口を開かないでしょうね(笑)。だけど、僕も、負けず嫌いなんでね。『チームで勝ちたい』と思っているから、『今のチームがこういう状況だからこそ、こうしたらいいんじゃないか』と早く気づけるし、それを伝えていっているつもりです」
「競争することが『習慣』になった」
4月の横浜戦で大野があげた「勝利への欲求」という優勝へのキーワードはどうして生まれたのだろうか。
「たぶん、僕の言葉一つがはまったわけでではなくて、色々な積み重ねがあったと思うんですよね。勝利を求めて、競争することが『習慣』になったということだと思います」
その『習慣』を作りはじめた開幕前のこと。練習から勝利への並々ならぬ執着心を見せた選手が生まれた、と大野が心から喜んだ出来事があった。