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「GKは止めることが一番の仕事なんだから」 権田修一が“欧州で指導する同期”と考える日本人守護神育成プランとは
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byTakuya Sugiyama/JMPA
posted2021/05/27 11:02
権田修一ら現役選手からの声が多く出て来ることで、日本におけるGK事情も大きく変わってくるかもしれない
どこの国の文化でサッカーをやるかって大事
権田:全然違いますよ。ポルトガルのときはブラジル人ばかりでしたけど、彼らは本当に守備のルールはない。オーストリア人やセルビア人はすごく徹底していたし、うるさかった。
中野:僕もドイツやアジアとかいろんな国でプレーしましたが、どこの文化でサッカーをやるかってことはけっこう大事だと思っていて。伸びる部分とか変わってくるというか。
権田:それは大事だよね。ポルトガル時代は、GKにしてもポルトガル人やブラジル人は足元の技術が高いから、当然そこを向上させないと生き残れないと思った。ずっと意識して練習していたから、日本に戻ってきたときにやっぱりそこの部分は向上しているなって自分でも感じた。逆にGKにしっかりプレッシングするチームが少ないセリエAにいたら、違う部分が伸びていたかもしれない。ほんとにどの国でプレーするか、どのチームでプレーするかでガラッと違う。
中野:でも、結局のところ、どの国でもGKで一番求められるのは「止めること」でしょ?
権田:それはもちろん。まさにそれがさっき言ったことの続きで、日本では求められていることがいろいろずれてきちゃう。足元の技術は、シュートを止めることができた上での話。ポゼッションに参加できるGKがいいとか、それが一番になってしまう風潮は絶対に間違いで。
中野:見極める側が評価軸を持っていないと、ずれてくる。そういうフィールドプレーヤーと関わる部分は「あっ、こいつ足元うまいな」「今の場面はつなげたでしょ」とかは比較的、誰が見てもわかりやすい。ついそっちで言いたくなる人の母数が多いんだよね、たぶん。
GKってケアすべきなのは「180度」でいい
権田:だからGKはシンプルに止めることが大前提として求められるんだよということもしっかり伝えていきたいところ。もちろん、GKがポゼッションに参加できれば守備の時間が減るから、守備力が上がる、失点を減らせるという見方はできる。でもそれはあくまでプラスアルファで。GKの一番の仕事はシュートストップ。
中野:GKをボール回しに組み込むことを前提としている戦術を使う監督は事実として増えてきているけど、足元の技術の重要性が、シュートストップやゴールを守ることの重要性よりも大きくなることは今後もないと思う。指導者の立場からすると、つなげないGKを戦術に組み込むことはできるけど、シュートストップができない選手を使うことはできない。サッカーは採点競技じゃないから。だから、その順序が本質的に入れ替わることはないと思うんだよね。まずゴールを守って、次に何ができるか。
権田:遼太郎のようなボランチの選手は360度から相手が来るけど、でもGKってケアすべきなのは180度でいい。後ろからは来ない。だから必要な技術は実はあんまり多くないはずなんだよね。
中野:まさにそうだね。