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ユーべ王朝崩壊! 攻撃的インテルが11年ぶりに優勝できたワケ…大一番での「ウノ・ア・ゼロ」と闘将コンテの“勝利欲” 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2021/05/19 17:02

ユーべ王朝崩壊! 攻撃的インテルが11年ぶりに優勝できたワケ…大一番での「ウノ・ア・ゼロ」と闘将コンテの“勝利欲”<Number Web> photograph by Getty Images

久々の国内制覇に大喜びするインテルのメンバーたち。サポーターたちもスクデット獲得に狂喜乱舞した

「監督のためなら死ねる」

 インテルは地力を着実にレベルアップさせながら、カンピオナートを勝ち進んだ。

「勝利以外は無価値」を是とするユーベで、プレーヤーとしても指導者としても男になったコンテは、常勝軍団の何たるかを叩き込むためにロマンチスト王国インテルに招かれた。

 夢を現実にするには、泥臭い現実を日々積み重ねるしかない。

 タイトル決定後、初の試合となった8日のサンプドリア戦後、コンテはスクデット奪回について思いを述べた。

「自身の人生で最も難しい挑戦だった。インテルでのこの2年で過去の自分自身を超えることができた。選手や私、このタイトルのために働いてきたすべての人たちにとって、優勝の喜びはとてつもなく大きい。インテルは11年も優勝を待ちわびていた」

 ベニテス、マッツァーリ、マンチーニ、スパレッティ……名だたる名将たちが率いたチームにはなかった、強固な結束が今のインテルにはある。

 昨秋、バレッラが発した「監督のためなら死ねる」という言葉はチーム全員が共有する思いを表すものだ。

「この世界で勝ちたければ、勝利欲に取り憑かれるくらいでいい」

 コンテは、お得意の過激なボキャブラリーで持論を披露する。優勝監督の特権だ。

「能力のある選手たちは、新しい監督が来るたびに"この男は自分たちにタイトルを獲らせてくれるのか"と値踏みするものだ。私は『優勝は可能だ』と明確に言うことで彼らに期待を抱かせ、期待を現実にしようと努めた。

 このチームは荒削りでメンタル面に未熟さも残すが、それでもこの選手たちは勝者だよ。(第22節で)首位に立ってからというもの彼らは一切の隙も見せず、優勝へと突っ走った。これこそ勝者のメンタリティだ。

 勝利は脳を直接刺激するんだ。この世界で勝ちたければ、勝利欲に取り憑かれるくらいでいい。勝利こそ、勝者になろうとする者にとっての麻薬なのだ」

 4月初旬、代表活動明けの第29節ボローニャ戦も決してスペクタクルに満ちた試合とは言えなかったが、その「1-0」にはスクデットを大きく引き寄せる重要な重みがあった。

 タイトル獲得目前の第30節カリアリ戦と第33節ベローナ戦で、試合終盤の残り15分を切ってから2度も「1-0」の決勝弾を叩き込んだDFダルミアンに、インテリスタたちは生涯感謝の言葉をかけ続けるだろう。

【次ページ】 "ウノ・ア・ゼロ"はカルチョの国の美学だ

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