ツバメの観察日記BACK NUMBER
親子で大の燕党、名前は古田から…ドラ1候補・廣畑敦也の“野球偏差値” がスゴい「もし今のヤクルトに自分がいたら…」
posted2021/04/15 11:04
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph by
Kyodo News
「三菱自動車倉敷オーシャンズの廣畑敦也ってピッチャーを知っていますか?」
ここ数カ月で、同業ライターから立て続けにそんな質問を投げかけられた。さらに決まって、こんな言葉が続く。
「廣畑投手の弟の名前は《臣吾》で、本人は《敦也》。もちろん、古田敦也と高津臣吾です。名づけ親のお父さんも、そして本人も大のヤクルトファンなんです。さらに、伊藤智仁が大好きで、長谷川さんの本も何冊も読んでいるそうですよ!」
いずれも、彼を取材したライターからの言葉だった。普段、ほとんどアマチュア野球を見ないため、「廣畑敦也」という投手のことは何も知らなかった。すぐにネット検索をすると、次から次へと彼の情報が出てくる。昨年の都市対抗で大活躍をして、若獅子賞に輝いたこと。今春のJABA東京スポニチ大会でも盤石のクローザーとして活躍し、チームは優勝、本人は大会MVPを獲得したこと。今秋のドラフト1位候補であること。さらに、伊藤智仁を尊敬し、大のヤクルトファンであること……。
俄然、興味がわいてきた。YouTubeで見る彼のダイナミックなピッチングにも魅了されたし、同じヤクルトファン同士、しかも拙著の愛読者であるのならなおさら、ぜひ本人の話を聞いてみたい。そこで、彼の所属する三菱自動車倉敷オーシャンズにコンタクトをとり、ついに彼へのリモート取材が実現する運びとなった。以下、「ヤクルトファン同士」の屈託のないやり取りをご紹介したい。
大の大人が駆け引きをして野球をしている姿に惹かれた
初めに尋ねたのは、昨年11月に発売された拙著『詰むや、詰まざるや 森・西武vs野村・ヤクルトの2年間』(インプレス)について。これは1992(平成4)年、翌93年、森祇晶監督率いる西武と、野村克也監督が指揮を執るヤクルトとの息詰まる2年間の日本シリーズの激闘を描いた作品だ。97年生まれの廣畑にとっては、自分が生まれる前の出来事となる。彼は、この本をどのように読んだのか? 作者としてはとても気になることだった。
「日本一をかけて戦う日本シリーズって、プロ野球選手なら誰もが目指す舞台だと思うんです。言い方は悪いかもしれないけど、大の大人たちが考えに考えて、いろいろな駆け引きをして野球をしている姿に惹かれました。僕の生まれる前の話だけど、野球ゲームで遊んでいたので、本に登場する選手のみなさんのことはもちろん知っています。その有名な選手たちが、どういう考えでプレーしているのか。森監督、野村監督がどんな心理戦を繰り広げていたのか。ピンチのときの守備陣の心理、攻撃陣の作戦などなど、野球をしている立場として、すごく参考になりました」