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東京五輪優勝候補に「惜敗→快勝」何が違った? 中西哲生に聞く「三笘が苦戦し、田中碧が力を発揮できた理由」
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/03/30 17:01
川崎フロンターレから代表に選出された三笘薫(左)と田中碧(右)
第2戦で改善されていたのは、まさにこの点です。自分たちがボールを失ったことによる攻守の切り替わり──ネガティブトランジションの局面で、日本の選手たちは全員が瞬時にリアクションをしていました。「間(ま)」がなかったのです。
自分たちがボールを奪ってからの攻守の入れ替わり──ポジティブトランジションの局面でも、タイムラグなく敵陣へボールを持っていく速さがありました。そこでボールを失っても、強度の高いプレーで奪い返し、またすぐに攻撃を再開させていました。プレーに連続性があったのです。さらに言えば、アルゼンチンにとってのアタッキングサードでうまく対応しきれなかったところが、改善されていました。
横内昭展監督は、第1戦からスタメンを9人入れ替えました。第2戦に先発した選手たちは、「ここで結果を出さないと」という危機感を抱いていたでしょうし、「ここで結果を出せば序列を変えられる」との野心も抱いていたと思います。
そのうえで、第1戦のデータがありました。第1戦には過去の試合映像によるスカウティングで臨んだはずですが、第2戦は実際に対戦した試合をもとに対策を立てることができた。鮮度の高い情報があっただけに、第1戦の課題が修正されたのは必然だったとも言えます。
相手を翻弄した「ボランチ・田中碧」
パフォーマンスに触れたい選手は多いですが、ここでは田中碧を取り上げたいと思います。ダブルボランチの一角を担った彼は、ボールを運ぶ時にタメを作り、ポジショニングにも気を遣っていました。ボールのデリバリーでは前へつけるところで急ぎ過ぎず、右へ展開すると見せかけて左へ運んだり、前へ行くと見せかけていかなかったりと、相手からするとかなり厄介な動きをしていました。
ボランチに田中碧がいたことで、2列目の選手もプレーしやすかったと思います。久保建英も田中碧に一度ボールをあずけて、もう一度リターンパスをもらう動きができていました。