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「“体にやさしい”は思い込み」伊達公子が批判… 日本で5割を占める“砂入り人工芝”コートと、育成の大改革案とは
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byYuki Suenaga
posted2021/03/10 17:05
日本のテニスコートの5割を占める砂入り人工芝について、伊達はことあるごとに批判的な立場を明確にしてきた
「いつかテニスアカデミーを作りたい。理想を言えば、宿泊施設や教育施設も備えていて、全世界からは無理でもせめてアジアから受け入れられるような規模のものです。考えてみれば、これまでやってきたこともこれからやりたいことも、全て一本の線上にあるのかなと思います。環境整備を考えたときにサーフェスの問題というのはずっと頭の中にあったし、いい環境は夢を持つ子たちに使ってもらうためだというところから育成プロジェクトが自然に生まれた。そのジュニアたちと関わる中で国際大会を作りたいと思い、アカデミーもその先に見えてきたものです」
育成プロジェクトが今直面している問題も、自分のアカデミーを持ちたいという思いに拍車をかけたのかもしれない。2期生は8人に増やす計画で、近く選考会が実施されるが、キャンプの会場として使用してきた『スポル品川大井町インドアテニスコート』は今年の8月に閉鎖されることになっている。伊達自身が監修したハードコート4面を持つこの施設は、JR東日本が所有する敷地を利用して他のさまざまな競技施設とともに2018年にオープンしたが、当初からオープン期間は限定されていた。ハードコートという条件ははずせない中、新たな会場選びは難航気味だという。
環境を整えてこそ“才能は伸びる”
伊達がエネルギーを注ぐ環境整備にも夢の実現にも、この先巨大な壁がいくつもあるだろう。サーフェスの改修以外にも、理想を言えばきりがなく、せめて5000人収容規模のセンターコートを全国に増やしたいし、開閉式屋根があればなお望ましい。世界のトッププレーヤーたちが喜んでプレーしたい、トレーニングをしたいと思えるような環境でこそ、子供たちの夢は芽生え、才能も伸びる。そういうものではないだろうか。
(【前回を読む】トップ30に“大坂なおみ”ただ1人…元世界4位・伊達公子が語る「夢も技術もあるのに“次の世代”が勝てない理由」)
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