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「支援はブームじゃない」小林悠が語るフロンターレと陸前高田、サッカー教室だけではない10年間
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byKAWASAKI FRONTALE
posted2021/03/10 11:02
陸前高田の子供たちにサッカーを教える小林(2015年撮影)
「親を失って傷ついている子どもたちもいます。子供たちの気持ちになって考えたら、言葉が出てこなくて……。自分の無力さを感じるしかなかった。でも子供たちは凄く笑顔で僕たちに接してくれて、いっぱい話かけてくれて。悲しい思い、苦しい思いをしているのに、それを見せない。
もちろん子供たちだけじゃなくて、手伝っていただいた大人の方たちもそうですけど。何か逆に自分たちのほうが元気をもらったような気がしました。前向きに生きていこうとする力、命の大切さ、時間の大切さを教えていただきました」
「支援はブームじゃない」がクラブの合言葉に
サッカー教室は毎年の恒例行事になっていく。「支援はブームじゃない」がクラブの合言葉となり、陸前高田の子供たちに会うことが小林のモチベーションにもなった。
「子供たちも最初はよそよそしかったのが、また会うと“おー、久しぶり”みたいになる。それにみんな大きくなっていくんで、やっぱりびっくりしますし、それがうれしい」
子供だけではなく地域との交流も深まっていく。若手から中堅、そしてキャプテンとなっていくチームの顔は、挨拶回りも役割となる。「町に馴染んでいる悠さんがいると心強い」とスタッフから頼られるようにもなった。
チームが勝てば、陸前高田も喜んでくれる。悲願のJ1初優勝を遂げた2017年シーズン、小林は23得点を挙げて得点王&リーグMVPを獲得。陸前高田からは、小林も現地で食した「生しいたけ」が木箱で送られてきた。
「まず選手としてやらなきゃいけないのは頑張っている姿、戦っている姿を見せていくこと。そのうえで子供たちに会ったときに、また一緒に触れ合って。選手はそういった人間力みたいなものを示すことで、子供たちに何か感じてもらって未来に何かつながればいいなって」
アンパンマンに負けないユウチャンマンスマイルをこちらに向けた。
友好協定「高田フロンターレスマイルシップ」を結んだ
続いているのはサッカー教室や募金活動だけではない。