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「支援はブームじゃない」小林悠が語るフロンターレと陸前高田、サッカー教室だけではない10年間 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byKAWASAKI FRONTALE

posted2021/03/10 11:02

「支援はブームじゃない」小林悠が語るフロンターレと陸前高田、サッカー教室だけではない10年間<Number Web> photograph by KAWASAKI FRONTALE

陸前高田の子供たちにサッカーを教える小林(2015年撮影)

 陸前高田の人たちをホームゲームに招待して市内を観光してもらう「川崎修学旅行」も恒例だ。また、2015年9月に友好協定「高田フロンターレスマイルシップ」を結んだことで始まったホームゲーム開催時の観光、物産をPRするイベント「陸前高田ランド」も定着していく。カキやホタテなど海の幸、きのこ類の山の幸などは人気商品となった。

 担当者の一人であるタウンコミュニケーション部プロモーションリーダーの若松慧はこう語る。

オリバー・カーンが餅まきに飛び入り参加

「陸前高田ランドは、コロナ禍の前まで年2回をベースに開催しています。フロンターレのイベント全体においても人気は高い。本場の美味しいものを食べることができるので、復興支援も兼ねてファン、サポーターの方たちには売り上げに貢献したいという気持ちもあるんだと思います」

 ファン、サポーターの間でも語り草になっているのが2018年12月1日、最終節でのイベント。ブンデスリーガのプロモーションで来日したドイツ代表の伝説的GKオリバー・カーンが「チャンピオンチームの試合を観たい」と急きょ観戦に訪れただけでなく、復興支援活動に賛同して餅まきイベントに飛び入り参加したのである。

 これだけで十分なのに、もうひと工夫を狙うのが若松らクラブスタッフたち。「2連覇なので2カーン、オメデトウと言ってくれたら盛り上がる!」と伝え、クラブスタッフも「餅と一緒に、ミカーンも投げていただいてます」とジョークの掛け声つき。この即興が、多くのスマイルを呼び込んだことは言うまでもない。

続く陸前高田との交流

 支援から交流へ。

 フロンターレと陸前高田はまさにパートナーシップの関係になっていく。

 それを象徴するようなエピソードがある。

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