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藤井聡太二冠、驚異の「勝率8割ペース」はどこまで続く? 昨年度はA級棋士に8勝7敗、今年度の戦績は…
text by
君島俊介Shunsuke Kimishima
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/03/09 17:04
2月11日に行われた朝日杯で、3度目の優勝を果たした藤井聡太二冠
一方、タイトルホルダーになると序列が上がり、予選がシードされる棋戦が出てくる。藤井が昨年に予選敗退した王座戦と棋王戦が、今年は初めから挑戦者決定トーナメントにエントリーされている。タイトルを持つ価値の一つだ。羽生が七冠を達成する過程でも、シードを生かしてタイトルを得た棋戦は多かった。
ただし、シードを得ると最初から当たりがきつくなる。そこで、各年度で藤井と順位戦のA級やB級1組に在籍する棋士との対戦を調べてみた。
例えば、C級に在籍していれば、順位戦だけで10局指すため、通常なら同じクラスにいる棋士との対戦が多くなる。だが、藤井はB級1組以上の棋士との対戦が急激に増えてきた。C級1組の2019年度は65局中28局、B級2組の20年度は、50局中33局(21年2月19日時点)。8割台の勝率でも、直近2年間とそれまででは重みが違うのだ。また、19年度はA級棋士に8勝7敗でほぼ五分だったが、20年度は15勝4敗と大きく勝ち越し、棋力向上や活躍の早さがわかる。
藤井の成長は、10年代後半以降の将棋史で大きな位置にある。激化していくせめぎ合いの中で、どのくらいの力をつけて、結果を出していくか注目される。
このコラムは、文春将棋ムック『読む将棋2021』に掲載されています。
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