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藤井聡太二冠、驚異の「勝率8割ペース」はどこまで続く? 昨年度はA級棋士に8勝7敗、今年度の戦績は…
posted2021/03/09 17:04
text by
君島俊介Shunsuke Kimishima
photograph by
Takuya Sugiyama
藤井聡太二冠はタイトルを取った後も勝ちまくり、2020年度も8割を超える勝率を上げている(本稿執筆時点)。17年度から19年度の3年連続勝率8割超は史上初だったが、さらに上乗せしようとしている。年度勝率8割超を達成した棋士はのべ14人で、複数回達成者は、ほかに羽生善治九段(2回)と中原誠十六世名人(2回)しかいない。
藤井は2021年2月19日の時点で通算251局指している。その中で通算勝率が8割を切った瞬間がないことは驚異的だ。羽生の通算勝率が最後に8割以上だったのは238局目。ただし、8割に達した時期がわずかにあっただけで、藤井とは状況が違う。また、中原は8割を超えた時期は長いが、200局に達する前に7割台になった。
藤井は昨年11月に通算200勝を達成した。負け数は40なので5勝1敗のペースだ。50勝ずつの成績は50勝8敗、50勝10敗、50勝12敗、50勝10敗。
1987年度に羽生が50勝11敗の成績を上げたときに、河口俊彦八段は「並の棋士にとって、二十勝十一敗は、夢のような成績だが、それにプラス三十連勝である。信じられぬ強さではないか」(『新対局日誌』第三集14ページ)と驚嘆している。藤井は87年度の羽生と同等以上の成績を上げ続けて200勝に達したのだ。「信じられぬ強さ」を超える勝ちっぷりを何とたとえればいいだろう。
昨年度はA級棋士に8勝7敗だったが、今年度は…
とはいえ、各棋戦を予選から戦ってタイトル獲得するには道のりが長く険しい。藤井は第91期棋聖戦、第61期王位戦とも予選から戦い、いずれも10勝してようやく挑戦権を得た。このパフォーマンスを全棋戦で出すのは大変だ。