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羽生善治九段はどれぐらい「予選」で指したことがある? 藤井聡太二冠の予選対局数と比較してみた
posted2021/03/09 17:03
text by
相崎修司Shuji Sagasaki
photograph by
BUNGEISHUNJU
羽生善治九段が長年にわたり将棋界を牽引してきたことは改めて言うまでもない。タイトル保持者という立場こそ2018年に27年ぶりの無冠(この時点でいろいろとおかしい)となってからは、しばらく縁がないが、2020年には竜王戦の挑戦権を獲得するなど、いまだトップクラスにいることは確かだ。
では、羽生善治はどのくらい「予選」を指した経験があるのだろう。
羽生は30年近くタイトル保持者という立場であり続けてきた。挑戦者を迎え撃つ立場の該当棋戦のみならず、他の棋戦でもシードされる優遇措置があった。当然、予選を指す機会は少なくなる。
2020年の第68期王座戦、羽生は本戦トーナメントの初戦で飯島栄治七段に敗れた。この結果として翌69期は二次予選からの参加となったのだが、羽生が王座戦で「予選」を指すのは1989年以来のことだ。また、羽生はヒューリック杯棋聖戦二次予選にて森内俊之九段と対局したが、この両者が予選で顔を合わせるのは実に33年ぶりだった。
現在行われている棋戦で「予選」が存在するのは王位戦、王座戦、棋王戦、叡王戦、王将戦、棋聖戦、朝日杯、銀河戦、NHK杯の9棋戦。なお竜王戦ランキング戦やB級1組以下の順位戦を予選と考えることもできるが、ここでは除外する。
羽生が一度も「予選へ陥落」していない4棋戦とは?
通算対局数が2100を超える中で、予選と名がついた対局はわずか131局しかない(予選については現行棋戦のみカウント)。その中では棋聖戦が群を抜いて多いが、これは2009年まで最終予選が存在していたからである。前期のベスト4でも、挑戦者決定トーナメントではなく、最終予選へのシードだった。