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【85歳に】長嶋茂雄が“非情な名監督”に成長したきっかけとは? 松井秀喜との縁、稲尾和久が恐れた異次元ぶり 

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photograph byKoji Asakura/Masahiko Ishii

posted2021/02/20 11:03

【85歳に】長嶋茂雄が“非情な名監督”に成長したきっかけとは? 松井秀喜との縁、稲尾和久が恐れた異次元ぶり<Number Web> photograph by Koji Asakura/Masahiko Ishii

2月20日で85歳の誕生日を迎える長嶋茂雄

「ウチは毎試合が巨人戦」

<名言3>
ヨソは5試合に1試合。ウチは毎試合、毎試合が巨人戦です。5倍のエネルギーが必要です。
(長嶋茂雄/Number441号 1998年3月26日発売)

◇解説◇
「大型補強しすぎだ」との声に応えて、長嶋が報道陣へ発した言葉である。翌日の新聞の見出しを見た他球団の関係者は「一本取られた」と思ったに違いない。こういった報道を利用した戦略(?)もミスターの魅力である。

 語り継がれる伝説の「10.8決戦」でも、長嶋節は炸裂していた。

 決戦の2日前の94年10月6日、巨人は優勝マジック1で臨んだヤクルト戦に逆転負けを喫したことで、セ・リーグの優勝争いは最終戦までもつれることになった。中日と69勝60敗でピタリとならび、同一勝敗数の2チームによる優勝決定戦はプロ野球史上初。報道陣に迫られた指揮官・長嶋は、大きく見得を切った。

「面白いじゃないですか。最後の最後に雌雄を決するんだ。いいでしょう!」(Number790号より)

 そうして迎えた10月8日。鬼気迫る言動で「俺たちは勝つ!いいか、もう1回言うぞ。俺たちは勝つ!勝つ!!」と選手たちを鼓舞した長嶋は、槙原寛己、斎藤雅樹、桑田真澄の3大エースを次々とマウンドへ投入。総力戦で勝利を掴み取った。大舞台になるほど燃える長嶋の本領発揮となった。

ミスターが問いかける「野球の醍醐味とは何か?」

<名言4>
投手同士の闘いは、ライバルとはいいません。
(長嶋茂雄/Number228号 1989年9月20日発売)

◇解説◇
 1987年に歴史に残るパ・リーグ新人王争いを演じた近鉄・阿波野秀幸、日本ハム・西崎幸広。両リーグ最多となる201奪三振を記録した阿波野に記者投票で軍配が上がったが、西崎には「パ・リーグ会長特別賞」が贈られる異例の事態となった。

 その後も、2人のエース争いは注目の的に。しかし、長嶋は「食うか食われるかの投打の闘いがベースボールの醍醐味」と言って興味を示さなかった。

「だって、投手対投手の争いというのは、数字のうえでの闘いでしょう」

 幾多の名投手と対峙し、数々の記録を残してきた自負がそう言わせたのだろう。

【次ページ】 数字には現れないもの

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