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【85歳に】長嶋茂雄が“非情な名監督”に成長したきっかけとは? 松井秀喜との縁、稲尾和久が恐れた異次元ぶり
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKoji Asakura/Masahiko Ishii
posted2021/02/20 11:03
2月20日で85歳の誕生日を迎える長嶋茂雄
数字には現れないもの
<名言5>
長嶋だけは何を狙っているのかわからなかった。
(稲尾和久/Number514号 2001年1月11日発売)
◇解説◇
「マウンドから打者を見ると、一瞬にその打者の狙い球がわかった」
こう話したのは、昭和30年代に「神様、仏様、稲尾様」と呼ばれた西鉄ライオンズのエース稲尾だ。
「打者の目を見、体の動きを見、その反応によって長所や弱点はどこにあるのか。あるいは狙っているコースや球種は何か。そういうことが一瞬に重なり、頭の中でパッ、パッとひらめくものを大切にしましたね」
現代のようにデータを重視する時代ではなかっただけに、その研ぎ澄まされた感覚こそ、一流選手の証であった。
しかし、そんな稲尾が敵わなかったとお手上げだったのが長嶋茂雄だった。
相手のリズムを狂わす奇想天外の発想や野性味あふれるボールへの反応、そしてここ一番というところで打順が回ってくる運。「常人を超える存在」である長嶋に最後まで手を焼いたと現役生活を振り返った。数字には現れないミスターの凄さがわかる証言である。
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