炎の一筆入魂BACK NUMBER
「キャプテーン!(笑)」といじられる鈴木誠也 “いつもと違う”広島春季キャンプはどうなっている?
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2021/02/18 11:02
守備練習で笑顔を見せる広島の鈴木誠(左)と野間(右)
キャンプ初日に「1人1人がチームが何を求めているのか、何をしないといけないのかをしっかり考えて、このキャンプ1日、1日大切に取り組んでいきましょう」と広島ナインに檄を飛ばした新主将も連日、自ら特打を行うなど練習量の多さは変わらない。
主力が率先して動くことで、その姿を見た若手は自然と行動に移す。今キャンプに見られる好循環だろう。
若い選手の突き上げが目立つキャンプの方が、チームを活性化させるためには望ましい。広島は18年までの3連覇から2年連続Bクラス。転換期を迎えているだけに、世代交代を推し進めるべきだという声もあるかもしれない。ただ、3連覇を知る主力たちもまだ30代前半。鈴木誠に至ってはまだ26歳だ。彼らがもう一度奮起し、復調することが、チームを軌道修正させる最善の策ともいえる。
今年33歳となる会沢翼も、クール最終日の広島名物メニューであるロングティーでも手を抜くスイングは1度もしない。疲労が蓄積された中でも、しっかりと練習意図を理解して下半身を使って1球1球振り抜く。実績ある選手ならごまかしながらスイングすることもできる中、約300球を振り抜いた。昨季限りで引退した石原慶幸の「アツ(会沢の愛称)はまだ、もっと成長できるし、もっと成長しないといけない」という言葉を胸に取り組んでいるのだろう。
外国人選手もほぼ同じ練習量
彼らだけではない。来日1年目のケビン・クロンも来日後2週間の隔離期間のブランクを埋めるように、初日から精力的に身体を動かした。一部参加のみでマイペース調整する新外国人選手も珍しくない中、課せられたメニュー以外も自主的に参加する姿勢を見せる。
「アスリートの性というか、性格というか、競争している者の意識として、チームメートがあれだけ動いているのであれば、自分も早くそこに到達したいという気持ちですね。やはりみんなと比べて、2週間の自宅待機があったので、ちょっと自分の思うところに達していないところがあった。焦っているわけではないですが、早く自分が思い描くコンディションに到達していきたい」
育成選手のロベルト・コルニエルにも、2年目のテイラー・スコットにも言えることだが、今年沖縄キャンプに初日から参加している外国人選手は別メニュー調整をせず、日本人選手とほぼ同じ練習量をこなしている。よりチームがまとまって見えるのも、そのせいかもしれない。