炎の一筆入魂BACK NUMBER
「キャプテーン!(笑)」といじられる鈴木誠也 “いつもと違う”広島春季キャンプはどうなっている?
posted2021/02/18 11:02
text by
前原淳Jun Maehara
photograph by
KYODO
夕方ではなく昼間の時間帯、しかも紅白戦や対外試合の前でもないのに、広島キャンプのメイングラウンドに選手が誰もいない時間がある。無観客キャンプを物語るシーンだ。例年は訪れたファンのため、メイングラウンドが無人となる時間はほとんどない。だが、今年は観客がいない。選手たちの声とミットの音や打球音が響き渡る、春季キャンプとなっている。
今年はグラウンドレベルでなく、スタンドからの見学となる記者の耳にも、選手たちの声はよく聞こえる。若手の大きく張り上げた元気な声よりも、今春の広島キャンプは主力選手の雰囲気づくりの声が印象的だ。
河田新ヘッド発案の特別メニューも
特に選手会長田中広輔は例年以上に張り切っているように感じる。コンディションも大きく影響しているだろう。19年に手術した右ひざの不安がなくなり、キャンプ初日から動きがいい。
復帰した河田雄祐ヘッドコーチから大きな期待をかけられ、第1クールには菊池涼介とともにバントやバスターなどの小技の個人指導を受け、第2クールには堂林翔太とともに特守でノックを受けた。どちらも全体メニューには記されていないもので、河田新ヘッド発案の特別メニュー。言葉だけでなく、行動でも期待の高さを感じさせるメッセージが31歳の背中を突き動かしているように映る。
田中広と同学年の菊池涼も、二軍スタートだった昨春から、今年は一軍キャンプ同行で初日からフルメニューを消化する。シートノックでは自主トレをともにした羽月隆太郎ら若手にアドバイスを送り、、志願して特守を受ける姿も見られた。もともと盛り上げ役だった上本崇司は今年も健在。緩急を付けたメッセージで練習に活気をもたらしている。
33歳会澤は300球を振り抜いた
そして「キャプテーン!(笑)」といういじりも、この春よく聞くフレーズだ。今年野手キャプテンに就任した鈴木誠也に、先輩選手から声が飛ぶ。