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「すべては即興だった」動くだけで脅威たりえた規格外のストライカー、ロナウドが愛した「9番」の醍醐味
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph byPierre Lahalle/L’Équipe
posted2021/02/28 17:01
レアル・マドリーには5シーズン在籍。02年にはFIFA最優秀選手賞に輝く活躍を見せた
ロナウド しばしばセカンドストライカーとしてもプレーしたけど、自分はトップの選手だとずっと思っていた。たぶん10番でもプレーはできたと思う。でもペナルティエリアの近くでプレーするのが好きだったし、自分はそこで一番危険というのもわかっていた。9番というポジションが僕は大好きだった。
――相手DFにあれだけ脅威を与えられたのはどうしてでしょうか?
ロナウド 脅威かどうかはわからないけど……。彼らに敬意を抱かせることにはなったと思う。スピードとテクニックを兼ね備えたうえ予測不能でもあったからDFは混乱に陥った。それが僕の能力で、あらかじめ何をするかを決めていたわけじゃない。すべては即興で、本能に従って最善の可能性を追求していただけだった。
昔のストライカーはゆったりプレーしていた
――今日における9番の進化をどう見ていますか?
ロナウド 今もチームは9番の得点能力と効率に大きく依存している。シーズンに20~30点を決められるストライカーは黄金のようなものだ。そんな選手を抱える幸運に恵まれたチームは多くはない。僕はメディアに与える衝撃に9番の進化を感じる。今日、得点を重ねる選手は、世界的な反響を即座に得ることができる。またテクノロジーの進化もストライカーの成長に寄与している。トレーニングがより専門化し、適切なものになったからだ。
――今日あなたがプレーするとしても、以前と同じスタイルでできるのでしょうか?
ロナウド 今は誰もがもの凄く速くプレーする。僕の時代はそうではなく、とりわけ10番はゆったりとしていた。ああ、僕は同じやり方でプレーするだろうけど、ディフェンダーのスピードにはしっかりと対応しなければならないだろう。
――ゴールキーパーもまた変わりましたが……。
ロナウド その通りだ! 僕の現役時代にはゴールキーパーが足元のプレーをすることは稀だった。僕以前にはレネ・イギータがいたぐらいで、彼は足元のテクニックにも秀でていた。でも他にはほとんど見かけることがなく、なるべくリスクを避けるのがゴールキーパーの考え方だった。今日では彼らはディフェンスラインのボール回しに加わっている。僕からすれば、ミスをついてボールを奪う機会が増えたことになる(笑)。