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トップ下で“主人公”の鎌田大地、中盤で鉄板な長谷部誠…王者バイエルン撃破! フランクフルトに春が来た
posted2021/03/01 11:04
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
1週間前までは気温-10度前後。降雪も多く、住宅の屋根が真っ白に染まる極寒の日々が続いたフランクフルトですが、ブンデスリーガ第22節アイントラハト・フランクフルトvsバイエルン・ミュンヘンが行われた2月20日は春の陽気が漂う快晴に恵まれました。
ドイツ国内は未だに新型コロナウイルス流行による制限措置、いわゆるロックダウンの最中ですが、スーパー、薬局、銀行などは開いています。この日はフランクフルト在住の僕も午前中に散歩へ繰り出しました。
近所のベーカリーからはパンの焼けた香ばしい匂い、青空市場では八百屋のおじさんが威勢の良い声でセールスに勤しんでいます。八百屋の壁に貼られた張り紙に視線を注ぐと、そこには昨年2月にフランクフルト近郊のハーナウで発生した、移民を標的としたテロで亡くなられた9人の方を改めて追悼する文言が綴られていました。心地良い日差しが降り注ぐ景色に心を和ませる中で、コロナ禍を挟んで起きた悲しい出来事が甦りました。
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散策を続けていると、ニューススタンドに飾られた今日の大見出しが目に入りました。「今日のアイントラハト、11人の戦士はこのメンバーだ!」。フランクフルトは第21節の1FCケルン戦に勝利してリーグ戦4連勝、引き分けを挟んで10戦無敗という我がチームに対する期待度が最高潮に達していて、連日大一番であるバイエルン戦に関する話題が飛び交っていました。
「中盤はハーゼで鉄板だろ」
僕の知り合いのアイントラハト・サポーターは、ケルン戦での警告により累積での出場停止となるMFジブリル・ソウの代役を心配していました。
「中盤でハーゼは鉄板だろ。他には最近途中出場している(セバスティアン・)ローデしか代わりがいないよな。(アディ・)ヒュッター(監督)は(ステファン・)イルザンカーを使ったりしないだろうな? それだけが心配だよ」
ハーゼというのはドイツ人が愛情を込めて長谷部誠を呼ぶあだ名です。ちなみにハーゼ(Hase)は、ドイツ語でウサギという意味でもあります。