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久保建英のヘタフェ電撃移籍から1カ月 全試合出場&監督の信頼が厚くても「なかなかハマらない」2つの理由
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byMUTSU KAWAMORI
posted2021/02/10 17:01
日本時間の2月10日早朝に行なわれたレアル・マドリー戦までの6試合に、久保はすべて出場している
久保について言えば、オンザボールの局面で的確なサポートを得られていません。彼がドリブルで仕掛けて相手をひとり剥がしても、そのタイミングで顔を出してくれる味方選手がいない。味方選手に一度ボールをあずけ、リターンパスをもらう、という連携は例外的なのです。
もうひとつ指摘したいのは、パスの質です。A・ビルバオ、セビージャ、レアルのようなチームが相手になると、パスの出し手にもきっちりとプレッシャーがかかり、受け手側の久保は厳しい状況でパスをもらうことになる。自分に対するプレッシャーを剥がさなければならず、剥がすことができてもそのぶんの時間を取られることで、すでに相手の守備は整ってしまっている、という状況が生まれているのです。
ポジティブな材料をあげるとすれば、クチョ・エルナンデスの存在でしょう。マジョルカでチームメイトだったコロンビア人FWが、セビージャ戦から復帰してきました。プレースタイルを理解できていて、オフザピッチでも仲が良いクチョなら、久保の良さを引き出してくれるとの期待が持てます。
チームを浮上させる鍵になれるか?
ここまで22試合を消化したヘタフェは、得点がリーグ最少の「17」に止まっています。ボルダラス監督が守備重視の戦術へ舵を切ることになっても、得点を奪わなければ勝つことはできない。指揮官からチャンスクリエイトを求められている久保は、チーム浮沈のカギを握るキーパーソンと言っていいでしょう。