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お先真っ暗のはずが快進撃のウェストハム でも無策で愛情なきオーナーに“怒りの鉄槌”が下りそうなワケ
posted2021/02/11 11:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Getty Images
夢か現か幻か……。
2月8日の時点でウェストハムが6位につけている。下から6番目ではなく、正真正銘の上から6番目だ。
しかも、ロンドンに本拠を置くクラブのなかでは堂々の第2位。5位のチェルシーには得失点差で劣っているものの同勝ち点であり、トッテナムとアーセナルをしのいでいる。23試合を消化した時点で39ポイント。早くも昨シーズンと同じ勝ち点に達した。降格を恐れるようなレベルではない。
今シーズンの日程が発表されたとき、私はウェストハムを憂いていた。ニューカッスル、アーセナル、ウォルバーハンプトン、レスター、トッテナム、マンチェスター・シティ、リバプール……。開幕節のニューカッスル戦に敗れると、7戦全敗も考えられたからだ。
しかも、生え抜きの有望株グレイディ・ディアンガナのウェストブロムウィッチ移籍をめぐり、キャプテンのマーク・ノーブルがSNSを通じて経営側を痛烈に批判してもいた。即戦力を補強できず、命からがらの残留(16位)となった昨シーズンからの上積みもない。
ウェストハムはお先真っ暗に見えた。
5-4-1システムがハマって驚異的な粘り
案の定、ニューカッスルとアーセナルに連敗する。デイビッド・モイーズ監督が新型コロナウィルスに感染し、隔離を余儀なくされる。開幕早々、手の施しようがない。
しかし、アーセナル戦で採用した5-4-1は攻守ともに手応えが感じられ、モイーズの留守を預かったケビン・ノーラン、スチュアート・ピアス両コーチも、「内容では劣っていなかった。アーセナルを押し込む時間も少なからずあった」と、試合後に語っている。
続くウォルバーハンプトン戦は4-0。レスター戦も5-4-1からのカウンターが奏功して3-0の快勝を収めると、トッテナム戦では驚異的な粘りを見せた。
試合開始から16分で3点のビハインドを背負いながらも、後半追加タイムを含めた残り12分で追いついたのである。