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お先真っ暗のはずが快進撃のウェストハム でも無策で愛情なきオーナーに“怒りの鉄槌”が下りそうなワケ
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/02/11 11:00
ウェストハムの躍進は混戦模様の今季プレミアを象徴しているのかもしれない
昨年12月11日のリーズ戦から採用している4-2-3-1の練度も含め、上位定着のためには丁寧な確認作業が必要だ。
1966年、自国開催のワールドカップでイングランドを世界一に導いたボビー・ムーア、ジェフ・ハーストはウェストハムの選手である。またリオ・ファーディナンド、フランク・ランパード、マイケル・キャリック、ジョー・コールなど、プレミアリーグで輝いた多くの選手が、このクラブの下部組織で腕を磨いた。
エンブレムの“ハマー”は錆びるばかり
ただ、数多くの名手を輩出し、4年後に創設130周年を迎える古豪はタイトルにだけはほとんど縁がない。1963-64、74-75、79-80シーズンにFAカップを、64-65シーズンにカップウィナーズ・カップを獲っただけだ。ファイナリストでさえ2005-06シーズンのFAカップが最後である。
直近5シーズンのプレミアリーグの順位も7位、11位、13位、10位、16位。クラブのエンブレムに掲げられた“ハマー(鉄槌)”が錆びるばかりだ。
近年のハイライトはリバプールを上回って7位に食い込んだ15-16シーズンではなく、カルロス・テベスとハビエル・マスチェラーノの活躍により、残り9試合で21ポイントを獲得、降格間違いなしと言われてから“奇跡の生還”を果たした06-07シーズンの方がインパクトは大きい。
古豪と言えば聞こえはいいが、取るに足らないクラブになっていたことは間違いない。
モイーズを呼び戻したことが無策を証明
2010年にウェストハムを買収した、デイビッド・サリバン、デイビッド・ゴールドの両オーナーも、監督人選に一貫性を欠いている。パッションを重視するスラベン・ビリッチ、守備偏重のサム・アラダイス、ポゼッション型のマヌエル・ペジェグリーニ……。現場に混乱を招くばかりだ。
18年5月に解雇したモイーズを1年7カ月後に呼び戻した事実が、オーナーの無策を証明している。