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お先真っ暗のはずが快進撃のウェストハム でも無策で愛情なきオーナーに“怒りの鉄槌”が下りそうなワケ
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/02/11 11:00
ウェストハムの躍進は混戦模様の今季プレミアを象徴しているのかもしれない
「前半でスイッチを切った我々にも非はあるが、まさかウェストハムがこうも粘るとは……。今シーズンの彼らは侮れない」
敵将ジョゼ・モウリーニョが悔やんだように、ウェストハムはもはや昨シーズンの彼らではなかった。
7戦全敗も危惧された序盤戦で2勝2敗3分け
第6節はシティの単調な攻撃にも助けられ1-1のドロー。第7節のリバプール戦も残り5分で力尽きたとはいえ、ディフェンディング・チャンピオンを苦しめた末の、1-2の惜敗だった。
結局のところ、ウェストハムは7戦全敗も危惧された序盤を2勝2分3敗で乗り切った。シティとトッテナムから1ポイントを奪ってもいるのだから、さらに自信を深めたことは言うまでもない。
中盤の要トマース・ソーチェクはこう語る。
「絶望的な実力差を痛感してはいないので、今シーズンは試合終了後のロッカールームもすこぶるいいムードだ。チーム全体に自信がみなぎっている」
モイーズ戦術は相変わらずも選手が奮闘
このソーチェクとデクラン・ライスが君臨する中盤センターが、好調の原動力と言って差し支えない。献身的な動きと積極性でピンチの芽を未然に摘み取るだけではなく、ソーチェクは192センチの長身を利したエアバトルで、ライスは正確なフィードで攻撃にも大きく貢献している。
またアーロン・クレスウェルとパブロ・フォルナルス、さらにアルトゥール・マスアクが織りなす左サイドの攻撃も連携が素晴らしく、GKルーカス・ファビアンスキは相変わらずの安定感だ。23試合消化時点で34得点。昨シーズンより8点も増えている。失点は28。こちらも昨シーズンより8点も減っている。
とはいえ、モイーズ監督は明確なゲームプランを持たず、主力のコンディションに負うところが大きい指揮官だ。選手層も厚くはない。今後ソーチェクとライスにアクシデントが生じた場合は大きな不安がある。