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あの時、ランドオブリバティはなぜ“逸走”した? 「西船橋に飯を食いに」が的外れではない理由
posted2021/02/08 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Sankei Shimbun
スペシャルウィーク、ネオユニヴァース、サトノダイヤモンドなどが勝ち馬に名を連ねる3歳限定GIIIのきさらぎ賞は、クラシックに直結する「出世レース」として知られている。61回目を迎えた今年は、先週日曜日の2月7日、35年ぶりに中京で行われ、北村友一が騎乗した3番人気のラーゴム(牡、父オルフェーヴル、栗東・斉藤崇史厩舎)が優勝した。
出走馬11頭を集めて行われたこのレースは、今年のクラシックの前哨戦としてはもちろん、別の意味でもファンや関係者の耳目を集めていた。
昨年のホープフルステークス(12月26日、中山芝2000m、2歳GI)の4コーナーで逸走して競走を中止したランドオブリバティ(牡、父ディープインパクト、美浦・鹿戸雄一厩舎)が、コースアウトせずに走り切るかどうか――ということが、大きな注目ポイントになっていたのだ。
ランドオブリバティをまっすぐ走らせるため
ホープフルステークスを簡単に振り返ると、2番人気に支持されたランドオブリバティは、押し出されるようにハナに立った。そのまま抜群の手応えで4コーナーを回り、圧勝するかもしれないと思われたところで外埒まで逸走。鞍上の三浦皇成を振り落とした。
レース後、「逸走した原因はひとつではない」と話した鹿戸調教師をはじめとする陣営は、この馬をまっすぐ走らせるため様々な手を尽くしてきた。
馬が口にくわえて騎手からの指示を受け止める馬銜(はみ)を、ジェーンビットという、左右への動きを制御しやすいものに変えた。それを装着してダートコース、ウッドチップコース、坂路コースと場所を変えながら、1頭で走らせたり、集団で走らせたり、角馬場と呼ばれる小さな運動馬場で8の字に周回運動させるなどし、1月20日、平地調教再審査に合格。
きさらぎ賞の1週前追い切りでも、レース週の本追い切りでも、悪癖を見せないことを確認していた。