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初の日本ダービーから2年で取り壊し…東京の“消えた競馬場” 目黒のド真ん中にあった「目黒競馬場」今は何がある?
posted2021/02/09 11:01
text by
鼠入昌史Masashi Soiri
photograph by
Mainichi/AFLO
いま、JRAでは東京・府中にある東京競馬場でレースが行われている。筆者は府中在住だから嬉しくてたまらない……と言いたいところだが、ご存知の通り今は新型コロナウイルスのせいで無観客。そういうわけでテレビでレースを見る日々である。
と、そんな中にある話を耳にした。なんでも、東京競馬場はもともと目黒にあったんだよ、というのだ。目黒というのはあの目黒。山手線では恵比寿と五反田に挟まれた目黒駅(は実は品川区にあるが)、桜の名所の目黒川が流れるあの目黒だ。目黒不動尊という名刹もある。区の人口は約30万人、大都会の中の住宅地だ。
いったい、そんな場所に競馬場が本当にあったのか。競馬場はとにかく広い敷地が必要だ。ぐるりと一周するだけでも少なくとも1マイル(1600m)くらいは必要になるし、その他にも観覧席やパドックや厩舎やら、と必要なものは盛りだくさん。それがあの住宅ひしめく目黒の町にあったとは、まったく想像がつかない。ただ、そういえば目黒記念という重賞レースもあるくらいだから、目黒と競馬は深い縁があるのだろう。
いざ“消えた目黒競馬場(の跡地)”へ
そんなわけで、目黒競馬場の跡地を訪れることにした。目的地には、目黒駅からバスに乗り換えて向かう。目黒駅前から権之助坂の急な下り坂を駆け下りて、目黒川を渡って大鳥神社を横目に目黒通りをひた走る。ひた走るといってもバス停にしてたったの3つ。その名も「元競馬場前」というバス停である。いかにも、競馬場が昔あったんだろうなと思わせてくれるバス停名だ。
そのバス停を降りて、しばらくは目黒通りを歩く。すると、人通りの多い歩道にひっそりと(というか誰も目を留めていない)馬の像が見えてきた。可愛らしくも小さな馬の像。近づいてみると、トウルヌソルという馬の像だという。いったいどんな馬なのか。