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藤田菜七子は2年連続受賞…“名誉賞”フェアプレー賞を騎手が狙う理由【不名誉な「再教育」制度も】
posted2021/02/12 06:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
SANKEI SHIMBUN
1月4日、2020年度のフェアプレー賞が発表され、15人の騎手がその栄誉に輝いた。関東の石橋脩、大野拓弥、菅原明良、田辺裕信、津村明秀、戸崎圭太、藤田菜七子、丸山元気、横山和生、吉田隼人。関西の岩田康誠、亀田温心、川田将雅、菱田裕二、藤岡佑介という面々だ。授与条件は、年間30勝以上かつペナルティが10点以下。菅原、亀田の両騎手はデビュー2年目での受賞という点が特筆されていいし、菜七子騎手は2年連続が素晴らしい。騎乗技術ももちろんだが、レースを馬上から冷静に観察できている騎手でなければ取れない賞だからだ。
文字通りの名誉賞だが、当人たちはかなり意識をして取りに来ている。横山和生騎手は、年末の有馬記念の週にまさにギリギリで30勝に到達しての初受賞で、「やっと届いた、と心の中でガッツポーズを作りました」と、うれしさを隠そうとしない。菅原明良騎手も同じく最終週での30勝到達(中央のみ)。きれいに乗って勝つ腕のいい若手、のイメージに直結する賞の獲得は、今後の騎乗依頼の質と量の向上にもつながるはずだ。
一方15人の騎手が31点を超えて再教育も
騎手に科せられるペナルティは、一般の人たちの自動車運転免許の減点制度に似た形で点数として定められ、最も軽い戒告の1点から、過怠金の金額に合わせて上がっていく。1万円が2点、2~3万円が3点、4~5万円が4点、7万円が5点、10万円が8点。最も重い騎乗停止は10点+実効期間の倍(2週間なら実効4日で18点)という具合だ。1年間、数百にも及ぶレースに騎乗して10点以下に抑えることの難しさを考えれば、フェアプレー賞はもっと注目されてしかるべきではないか。
一方、ペナルティを溜め込むと不名誉な再教育という制度も待ち受けている。30点が一つのラインで、'20年は15人の騎手が31点を超えて再教育となった。特に北村友一騎手はクロノジェネシスとのコンビで夏冬のグランプリを制すなどの活躍をした反面、3回の騎乗停止が響いて、ワーストの72点に達した。彼の名誉のために書き添えるが、フェアプレー賞も3度受賞している腕達者だ。ここ2年は好成績とともに、罰点にもつきまとわれているが、年初めに結婚したこともあり、今年はフェアプレー賞も狙っているはずだ。