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堀口恭司を「誇りに思います」 女子トップ空手家・月井隼南が大晦日の“カーフキック”に刺激を受けたワケ
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by本人提供
posted2021/01/27 17:00
セルビア滞在時の月井準南(最前列)。コロナ禍の中、五輪を目指して世界のトップ選手と研鑽を積んだ
選手は「台湾の対応が一番いい」と口を揃えた
アランジェロバツでの滞在は今回で2回目。前回の滞在で月井はロクサンダの指導に深い感銘を受け、そのときから「機会があれば、また受けたい」と考えていた。
「ロクサンダ先生は自分だけメリットがあるという考え方が好きではない。何かをいただいたら何かを返す。そういう日本人的な考え方を持っている人なんです。自分でも『私は日本の文化が好き』と言っていましたね」
オフの時には他の選手と会話することも。話題は、やはり新型コロナウイルスに集中した。「どこの国の対応がいいのか」という話になると、みな「台湾の対応が一番いい」と口を揃えた。
「台湾は世界でコロナが流行り始めた矢先にいち早くロックダウンをしている。その際、この国のトップアスリートたちはナショナルトレーニングセンターに集められ、外部との接触を断つ形で練習を続けることができた」
「日本と同じような状況の国が多かったです」
そんな台湾とは対照的にセルビアでの合宿に参加した選手たちはロックダウンと隔離が繰り返される中でほとんど練習できていないという人が大半だった。
「みんな、道場でひっそりと練習する。走るだけという選手が多かったですね。というのも、いつも使っているジムや施設は使えないし、集団行動は禁止という国もあった。話を聞く限り、日本と同じような状況の国が多かったですね」
参加選手の中には、昨年コロナに感染したと打ち明ける選手もいた。
「熱が出て、喉も痛くて1カ月は何もできなかったと言っていました。ただ、彼女の国では週1回ドクターが家まで来てくれ、必ず血液とPCRの検査をやるなどのケアをしてくれたおかげで後遺症は残らなかった」