オリンピックへの道BACK NUMBER
羽生結弦のコメント、抑制の効いた観客…「大会を成功させたい」という思いにあふれた2020年フィギュア界
posted2021/01/25 11:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO
フィギュアスケートの2020-2021シーズンは、年末の全日本選手権をもって2020年が終わり、年が明けて、高校総体や冬季国体に進むことになる。
思えば、よくここまで予定通りに大会を開催することができたものだ。昨春を過ぎてからの、選手やコーチ、あるいは他の立場でかかわる人々の今シーズンへの危機感を思い起こせば、あらためてそう感じる。
新型コロナウイルスの感染拡大はあらゆるものに影響を及ぼした。スポーツもその範疇にあり、フィギュアスケートも逃れようもなかった。
昨年2月の四大陸選手権ではマスク着用を求め、入場時の検温を実施して行なわれた。
3月の世界選手権は開幕直前に中止。国際スケート連盟(ISU)は秋に代替開催することも検討したが、それが伝えられるやいなや、現場サイドから反発が生まれたことが物語るように、あまりにも現実的ではなかった。
開催国の選手、拠点としている選手などに限定
国内外を問わず、選手は思うように練習できない状況が生じ、国と国との移動も制限された。指導を受ける拠点と居住国の行き来も困難を強いられることになった。
グランプリシリーズは中止となる大会があり、実施された大会も開催国の選手、拠点としている選手などに限定して開催され、得点は非公認とされた。
グランプリシリーズに限らず、それぞれの国で大会は行なわれた。ロシアで有力選手を含め、感染者が相次ぎ欠場を強いられるなど、難しさを感じさせる事態もあった。
日本でも、シーズンは幕を開け、各ブロック大会をはじめ、さまざまな大会が実施された。
その多くは無観客で、NHK杯と全日本選手権は人数を制限しての有観客試合として行なわれた。
懸念はあった。感染が広がったら、選手が感染したら……。幸い、今のところそうした報告はない。