フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「毎週2時間近く話している」ルカクが語ったアンリとの“特別な関係”、ロナウド「34ゴール」との比較
text by
ティモテ・ピノンThymote Pinon
photograph byL’Équipe
posted2021/01/24 11:01
今やヨーロッパを代表するストライカーの1人となったロメル・ルカク
ルカク 1つにはゾーンの問題がある。特にコーナーキックではそれが顕著で、僕は主にGKの前に立つかニアポストに走り込むかで、どちらも簡単に得点できる位置取りではなかった。だからこれからは、立ち位置を変えたいと思っている。シュート力もあってヘディングも強いのだから、監督と話し合う必要がある(微笑)。
――他にも改善していきたい点はありますか?
ルカク すべてだね! 進歩のための努力を止めてしまったら、能力も徐々に退化していく。それでは死んだも同然だ。僕が今、本気で進歩したいと思っているのはボールタッチの回数だ。
――それはどういう状況においてですか?
ルカク 全般においてだ。ワンタッチコントロールが必要な場面ではワンタッチで処理する。もちろん局面をコントロールしたり、ドリブルやシュートも打つけれども、ワンタッチで相手をかわせたらそれが一番いい。そうしたディテールにこれからもこだわっていきたい。ゴール前でできる限り素早くプレーできるように。
――とりわけ相手を背にした場面でしょうか。今日のようにプレスが激しくなると、トランジションではそうしたプレーがずっと重要になってきます。
ルカク イタリアでは特にそうだと思う。ここではそれぞれのチームが、それぞれのやり方でプレスをかけてくる。選手はみなそれぞれが長所を生かして1対1を挑んでくる。だから僕もボールを受けたときは、出来る限り早く自分に有利な状況を作り出す必要がある。ゴールに背を向けてのプレーはもはや基本だ。チームにとっても僕自身にとっても。
――前を向かねばならないときや、相手に囲まれたときにどんな気持ちになりますか?
ルカク それは自分をとりまく状況と、そのときどんな動きをしているかによる。どちらかのサイドでボールを受けたときは、そのままキープせねばならないことが多い。だが中央だと一気にチャンスが広がり、機会を逃さないため即座にボールを処理する。サイドを走る選手がスペースを見出しそこにボールを送る。またどのゾーン(相手ゴールからの距離)でボールを受けるかによってもやり方は異なる。そうしたすべての要素を考慮に入れたうえで、素早く状況を分析することが求められるわけだ。
「試合中の集中度は恐らく99%だが…」
――試合終了直前の熱い瞬間についても伺いますが、何か事件が起こったときや重要なPKを蹴る場面でも、あなたは極めて落ち着いているように見えます。
ルカク すべては集中力の問題だ。PKがそれをよく示している。試合中の集中度は恐らく99%だが、熱い瞬間になるとさらにそれ以上のゾーンに入っていく。プレーのみに集中して、他は何も目に入らなくなる。それに僕がしっかりと働けば、相手DFが疲れることもよくわかっている。相手の呼吸が徐々に荒くなったとき、彼らに対してすることはもうあまりない。僕はボールだけに集中してフィニッシュに持っていけばいい。