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「毎週2時間近く話している」ルカクが語ったアンリとの“特別な関係”、ロナウド「34ゴール」との比較
text by
ティモテ・ピノンThymote Pinon
photograph byL’Équipe
posted2021/01/24 11:01
今やヨーロッパを代表するストライカーの1人となったロメル・ルカク
――いらだちを感じることはないですか?
ルカク もちろんある。でも信じ続けることが大事なんだ。僕らが2点リードされた試合を思い起こせばいい(2020年11月22日、対トリノ。4対2でインテルの逆転勝ち)。2対0というのは相手にとって最悪のスコアだった。こちらが1点返せば、すべてがひっくり返る可能性があるからだ。できる限りシンプルにプレーできるように、身体が頭についていけるようにする。試合に集中していれば逆転も可能で、相手は終わってしまう。
「モチベーションの根源は記録ではない」
――記録や統計には興味がありますか? 思い起こすのはクリスティアーノ・ロナウドですが……。
ルカク (遮って)ロナウドはポルトガル代表で100ゴール以上をあげている。彼との比較はまだ早い(取材時点、ルカクはベルギー代表で57ゴール)。
――ならばブラジル人のロナウドが、インテルでの最初のシーズンに記録した34ゴールはどうですか。昨季はあなたも同じ数のゴールを決めましたが。
ルカク それならOKだ。僕がどう考えたか教えよう。昨年、そのことをずいぶんと聞かされたけど、すぐに他のことを考えるようにした。数字や記録に関しては、早くにプロデビューした僕には大きなチャンスがある。とりわけ代表の記録はそうだ。たしかにデビュー当初は厳しかったけど、ベルギー史上最多得点者になるのは100%間違いないと思っていた。素晴らしい選手たちが名を連ねるなかで1つの快挙だ。ただ、11年もプロでやっているから、記録にこだわるのは当然のことだけど、モチベーションの根源は記録ではない。
――あくまでもチームタイトルが優先ですか?
ルカク 僕はストライカーで、16歳でプロになってからずっと得点し続けてきた。僕が打ち立てた記録は、その積み重ねの結果だ。ミラノでは誰もがロナウドの記録のことを僕に言う。彼に並んだのはたしかに嬉しいけど、あのシーズン(97~98年)の彼はUEFAカップに優勝し、僕はヨーロッパリーグ決勝で敗れた。だからタイトルを獲るために全力を尽くす。
――スクデットやEUROはどうですか?
ルカク コレクティブな野心は僕だけでどうにかなるものではない。今、スクデットの話が出たけど、正直に言ってここ最近のチーム状況を考えれば、獲得したいなどととても言えない。今はひと試合ひと試合をどう戦うかだけを考えている。
とはいえ僕らはインテルだ。スクデット獲得は最低限の目標だ! 3月にどうなっているか、まずはそこからで、EUROもまた同じだ。
――黄金世代のベルギー代表には大きな期待がかかりますが……。
ルカク 僕らがどんなチームか誰もが知っている。特にW杯の準決勝を戦ってからはそうだ。僕らもどうすべきかよくわかっている。もちろん他に優れたチームがたくさんあることも。今、願っていることはたった1つで、EUROに向けすべての選手が誰一人として怪我なく代表に集まることだ。
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