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【手記】大学4年で早稲田大ラグビー部に入部したらどうなるのか? 「早稲田スポーツ」記者の異例の挑戦
text by
千葉洋介Yosuke Chiba
photograph bySportsPressJP/AFLO
posted2021/01/21 06:00
選手権連覇とはならなかったが、丸尾主将を中心に難しいシーズンを乗り越えてきた早稲田ラグビー部
そこから約3カ月。忘れもしない、福島合宿の9月13日。流通経済大学とのC戦で、高校生以来となる試合に出場を果たしました。出場時間こそ短かったですが、早稲田ラグビー部の一員として試合に出場できたことにこれまでに経験したことのない喜びを感じました。
その後は関東大学対抗戦に向けて走り出したトップチームと練習する機会にも恵まれ、嬉しさの反面、同時に圧倒的なスキル不足を痛感。昨年まで取材を通して追いかけてきた選手たちと対峙したことで、いかに自分が「赤黒」まで遠いのかを再認識しました。
驚いたコミュニケーションの量
1年生は対抗戦シーズンも大半の時間を体づくりと基礎的なスキルアップに当てます。その傍らでトップチームのすごさを目の当たりにしました。
毎週のように行われる対抗戦や練習試合。その都度、早稲田ラグビーの修正力と基礎スキルの高さに驚かされました。対抗戦初戦・青山学院大学戦後に出たブレイクダウン周辺の課題を、すぐに翌週のテーマに掲げ、克服する。次の試合を迎える前にはほぼ修正は完了します。試合を重ねるたびにラグビーはブラッシュアップされて、どんどん強化されていくのが手に取るようにわかりました。
また、練習の内外問わずコミュニケーションを取る仲間(先輩たち)にも驚きました。あんなに強くて上手い選手たちでも、こんなに話さなければいけないのかと会話の重要性も学びました。そんな修正の起点ともなるのが、試合後の「集合」です。
キャプテン丸尾の言葉
特に印象深かった「集合」が、全勝で迎えた対抗戦最終戦の早明戦(12月6日)の試合後に行われた「集合」でした。攻守で明治に圧倒され、14-34の敗北。いつも強く熱い言葉でチームを鼓舞する丸尾主将が涙を堪えているように見えたのです。
彼のことは高校時代から知っています。3年間の取材を通しても、弱い部分を決して見せない男です。しかし、決して涙を零すことはなく毅然とした態度でチームにこう言葉をかけました。
「準備はしてきた。けど何かが足りなかった。ここからもう一度BATTLEしよう」
下を向かず、奮い立つ姿に同い年として胸を打たれました。
この丸尾主将の言葉をきっかけにチームはまとまっていきました。大学選手権の初戦となる早慶戦に向けた気迫は以前とは比べ物にならないほど。普段の生活でも規律を徹底するなど、改めて振り返るととてつもない集中力を保ったまま、日々を過ごしていたのだと思います。