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五郎丸歩はじたばたしなかった。~両の手の指を組む「ポーズ」を消した生き方~

posted2021/01/13 08:00

 
五郎丸歩はじたばたしなかった。~両の手の指を組む「ポーズ」を消した生き方~<Number Web> photograph by KYODO

おなじみ「ブライトンの奇跡」の歓喜のシーンも、彼の引退表明後は何か違って見える

text by

藤島大

藤島大Dai Fujishima

PROFILE

photograph by

KYODO

 椿事だった。2016年の5月。東京の池袋演芸場での一幕である。

 紙切りの林家正楽が飄々と登場する。いつもの文句。

「ご注文をいただいて切りましょう」。タクシー会社の経理担当の男性が叫んだ。「ゴロウマル」。このほど今季限りでの引退表明、ラグビーの五郎丸歩である。

 さすがプロ。「無理だと思います」なんてぼやきながらハサミを動かせば、見事、白い紙の姿が黒の背景に浮かんだ。もちろんゴールを狙う仕草である。「どうぞ、おみやげでございます」。家宝の誕生。ついにラグビー選手が伝統芸能のレパートリーに加わった。

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