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「イングランドは嫌われていますし」エディー・ジョーンズが語る2023年W杯 日本への期待と警戒 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2020/12/30 17:01

「イングランドは嫌われていますし」エディー・ジョーンズが語る2023年W杯 日本への期待と警戒<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2023年ラグビーW杯で日本と戦うことになったエディー・ジョーンズ。日本の若手選手たちへの期待も語ってくれた(写真は2019年12月撮影)

日本のロック「底上げは急務」

 そして、日本はどうか。エディーさんはトップリーグのサントリーでディレクター・オブ・ラグビーを務め、いまだに日本の情報には詳しい。ただし、日本代表のこととなると、2020年は活動がなかっただけに、見当がつかないという。

「コロナ禍によって、2020年は日本代表にとっては失われた1年となってしまいましたね。ただ、ひとつだけ確実なことがあります。みなさんが愛した2019年のチームとは、まったく顔ぶれが異なるということです。ただし、選手は変わったとしても、大胆にボールを動かしていくスタイルに大きな変化はないでしょうが」

 顔ぶれが変わる理由は、2019年大会で30代に突入していた中心選手がすでに多かったことが挙げられる。

「FWでは、すでにトンプソンルークが引退し、BKではケンキ(福岡堅樹)も自分のキャリアを追求して代表からは去ります。もったいないですけどね。その他にも、2023年には田村優が34歳になっていますし、大方の選手は30代中盤に突入します。それとイングランド、アルゼンチンと対等に戦うにはFWの力強さが欠かせませんが、ロックは年齢的にジェームス・ムーアしか残れないでしょう。ロックの底上げが日本は急務で、実はこの数年間課題を解決できないままでいます」

 エディーさんの眼からは、日本は新陳代謝が必要なチームであり、20代前半の選手の突き上げが必要だという。

大学生のレベルが上がっている

「トップリーグではそのあたりを観察していくと、面白いのではないですか。明るい材料もあります。この12月の大学生の試合を見る限り、5年前と比べてスキルレベルは飛躍的に上がっていました。安定的に力を発揮できないという、この世代特有の課題を抱えてはいましたが、望ましい状態には近い。トップリーグは、グローバル・スタンダードに近いラグビーを展開していましたが、大学も近づいているという印象です」

 いまの大学生、そしてトップリーグでプレーし始めた選手たちにとっては、チャンスが広がっている状態だ。

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