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「イングランドは嫌われていますし」エディー・ジョーンズが語る2023年W杯 日本への期待と警戒 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2020/12/30 17:01

「イングランドは嫌われていますし」エディー・ジョーンズが語る2023年W杯 日本への期待と警戒<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2023年ラグビーW杯で日本と戦うことになったエディー・ジョーンズ。日本の若手選手たちへの期待も語ってくれた(写真は2019年12月撮影)

素晴らしいチームを作るには8年必要

 では、イングランドはどうか。11月から12月にかけて行われた「オータムネーションズカップ」では優勝し、北半球では力の差を見せつけた。2023年に向け、エディーさんは“ウィニング・カルチャー”を根づかせていくつもりだという。

「W杯でもオールブラックスに勝ち、力は証明できたと思いますが、そのチームの“印象”というものは、どうしても最後の試合の結果によって決定づけられてしまうものなんです。つまり、オールブラックスに勝ったことよりも、決勝で南アフリカに敗れたことがみなさんの記憶に残っているんです。

 ただし、ウィニング・カルチャーを作るには時間がかかります。ニュージーランドは本命視されていた2007年の大会では準々決勝で敗れ、そこから自分たちと向き合ったことで、2011年、そして2015年のW杯で連覇を達成しました。私の感触としては、素晴らしいチームを作り上げるには2大会分、8年ほどの時間が必要です。いま、イングランドはその途上にあります」

 2023年大会のターゲットは、当然のことながら優勝だ。予選プールでの日本との試合が、そうそう簡単には運ばないことを、いちばん承知しているのはエディーさんだろう。

「日本にはプライドが根づきましたからね。それに間違いなく、フランスのサポーターは100%、日本を応援するでしょう。フランス人は日本を敬愛していますし、ボールを展開するラグビースタイルに声援をおくるのは間違いない。それに歴史的、文化的な背景もあって、イングランドはとても嫌われていますし(笑)」

 北半球のティアIの国々相手に、日本が勝ったことがないのは、イングランドとフランス(引き分けはあり)だけだ。

 2023年W杯、日本の冒険は新たなステージを迎える。

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