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阪神4番・大山悠輔はなぜタイトルを獲れなかった? 藪恵壹が語る3つの改善点「岡本・村上にはあるが…」
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph byKyodo News
posted2020/12/24 17:02
入団からのシーズン本塁打数は、7本→11本→14本→28本と着実に成長。来季は球団35年ぶりとなるタイトルを狙う
その2)一番物足りないのは「お尻」
身体的なところで大山と2人を比較してみると、一番物足りないのは下半身、お尻ですね。もっとがっちりさせてほしいと常々感じています。岡本は、18年に出始めたときは細い印象を受けましたが、その年の夏から秋になるともう下半身がしっかりと出来上がってきていました。シーズン中の守備練習で腰から体重を乗せてトレーニングしていたことが生きたのだと思います。
その点大山は、まだ守備は守備、打席は打席と分けて考えていて、リンクさせていない印象を受けます。練習で受ける1球1球が下半身を作り、そこからどっしりとした構えが生まれ、ぶれないスイングにつながります。来季のキャンプでは、まずお尻を見てみようと思っています。
その3)「三振」を意識して減らそうとするな!
もう1つ指摘するとすれば、三振数です。これは減らせという意味ではありませんよ。むしろ心配なのは、意識して減らそうとすることです。
ここでも岡本を例に挙げますが、18年の120個、19年の132個に対し、今年は85個と明らかに意識して三振を減らしていますね。これは一見良いことのように思えますが、相手バッテリーの視点で見ると少し変わってきます。
2ストライクに追い込まれたところからミート中心に切り替えれば、三振は自ずと減ります。しかし、バッテリーにとって一番嫌な四番打者は「当たればホームラン」というバッター、つまり「怖さ」があるバッターです。ミート中心の打撃にするとその「怖さ」が薄くなる。相手バッテリーからすると、かえってやりやすくなってしまうんです。
大山は19年、20年とそれぞれ100個近く三振を喫していますが、ホームランバッターは100三振くらいならそれでいい。必要以上に気にすることなく、しっかり振っていってほしいと思います。