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阪神4番・大山悠輔はなぜタイトルを獲れなかった? 藪恵壹が語る3つの改善点「岡本・村上にはあるが…」
posted2020/12/24 17:02
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
コロナ禍での異例のシーズンを2位で終えた阪神タイガース。首位・巨人に7.5ゲーム差をつけられたという事実は重く受け止めなければなりませんが、昨年に引き続き生え抜きの若手がポジションを固めつつあり、収穫もあった1年でした。
その中でも特筆すべきは、四番として定着した大山悠輔の成長でしょう。
試合数が例年よりも20試合以上少ない中で、28本塁打、85打点、打率.288はいずれもキャリアハイ。本塁打数はリーグ2位タイ、打点は3位と初のタイトルも視界に捉えていました。
ホームランのうち12本が甲子園で出ているのも良いですね。広さが苦になっていないということですから、彼の長打力という魅力を改めて感じさせてくれます。何よりホームで打てるというのはチームを勢いづけますし、お客さんも喜びます。大したものだと思いますよ。
しかし、タイトル争いをした巨人・岡本和真やヤクルト・村上宗隆に比べると、まだ「物足りなさ」を感じます。この「物足りなさ」をどう補うかが、来シーズンで念願のタイトルを手に入れられるかどうか、ひいてはタイガースの成績につながってくると思っています。
その1)岡本の「安定感」と、村上の「確実性」がほしい
31本、97打点で2冠に輝いた岡本は、3年連続の30本塁打超えでした。私は以前から30本、90打点が「四番打者」の最低ラインだと言っているのですが、そこも3年連続でクリアしています。この安定感は大山にはまだない部分ですね。
彼は変化球を打つのが上手いのですが、変な力みがないのもポイントです。他球場に比べて広くない東京ドームがホームですから、自分のスイングをすればフェンスを超えることを理解しているのでしょう。
昨年ブレイクし新人王を獲得した3年目の村上も、さらなる進化を見せてきました。以前は身体の前で広く変化球を拾っていましたが、今は速い真っ直ぐにも振り負けないスイングです。
そして今年は、何と言っても打率を3割に乗せた(.307)こと。四死球が合わせて90個ある中でホームランを28本打っているのにも驚きました。確実性という面では、3人の中でも頭一つ抜けています。タイトルの獲得においては、本塁打が出やすい神宮球場をホームとしているのも有利です。