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ソン・フンミン&ケインの“最強ホットライン”と2年目モウリーニョの十八番カウンター 好調トッテナムの生命線
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/12/19 17:02
ケイン(10番)とソン・フンミン(7番)をねぎらうモウリーニョ監督。“ジョゼ・スタイル”を体現するには最適の2人だ
一方の攻撃でいえば、特に前半はカウンターの芽がことごとく潰された。
33分の同点弾はGKウーゴ・ロリスからのリスタートを最短で繋いで決めたものだが、十八番のカウンターがフィニッシュに繋がったのはこの1回きりで、45分間で相手の8本に対し、トッテナムはわずか1本のシュートに終わった。
リバプールが敷いたカウンター対策
リバプールの4バック~中盤の選手は、トッテナムのカウンターのスイッチとなるパスに対して感度を非常に高く保っていた。この試合でのリバプールのインターセプト数は15だが、うち14回がミドルサード~敵陣アタッキングサードのもので、カウンターそのものを発動させないように試みていたことが分かる。
後半はやや前がかりになり攻勢に転じたが、ベルフワインが2つ、ケインがCKからのビッグチャンスを逃したことは結果に大きく影響した。あの場面でリードすることができれば、トッテナムにとってはお得意の展開に持ち込むことができたはずだ。
後半ATに2試合連続となるセットプレーからの失点を許し、開幕戦以来12試合ぶりとなる敗戦を喫したトッテナムだが、モウリーニョは試合後「全体的に試合をコントロールできていたし、パフォーマンスにはとても満足している」と語った。
ポゼッションはジョゼの求めるものではない
確かにリバプールが76%と圧倒的にボールを握り、常に得点機会をうかがい続ける展開だったが、そもそもトッテナムないしモウリーニョにとってポゼッションは重要ではない。
マンチェスター・Cには66%、チェルシーには60%、アーセナルには70%のポゼッションを許しながら、この全てをクリーンシートで終え、シティとアーセナルには勝利しているのだ。モウリーニョの代名詞ともいえる戦術は「ゴール前にバスを停める」とたびたび揶揄されてきたが、これが彼の戦い方であり、トッテナムではしっかり結果を残している。
「相応しくない結果だ」と悔しさを滲ませたリバプール戦となったが、トッテナムはこの先タイトルレースを勝ち抜くことができるだろうか。