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ソン・フンミン&ケインの“最強ホットライン”と2年目モウリーニョの十八番カウンター 好調トッテナムの生命線
text by
三重野翔大Shodai Mieno
photograph byGetty Images
posted2020/12/19 17:02
ケイン(10番)とソン・フンミン(7番)をねぎらうモウリーニョ監督。“ジョゼ・スタイル”を体現するには最適の2人だ
ジョゼ・モウリーニョの「2年目」が目覚ましい結果を残してきたことは有名だ。ポルト、チェルシー、インテル、レアル・マドリード、チェルシー(第二次政権)でリーグ制覇を成し遂げ、ポルトではUEFAカップ(現EL)を、インテルではCLを獲っている。マンチェスター・UではUEFAスーパーカップのみに終わったが、2年目のモウリーニョは多くのクラブにタイトルをもたらしてきた。
1960-61シーズンを最後にリーグタイトルなし、もちろんプレミアリーグ優勝経験のないトッテナムでも、その手腕を存分に発揮している。
ソン&ケインのプレミア最強ホットライン
代表的なのがソン&ケインのプレミア最強ホットラインだ。
もとより彼らの関係がトッテナムにとっての生命線である。従来のストライカーとしての動きだけでなく、今季はやや低い位置に下がって”偽9番”の役割も担うケインと、圧倒的なスピードを活かしたドリブルが光るソンのコンビは、今やどのクラブにとっても脅威だ。
英紙『デイリー・メール』によると今季、互いのアシストで決めたゴールの合計は12(第13節時点)で、1シーズンにおける数では18-19シーズンのライアン・フレイザー&カラム・ウィルソン(ボーンマス)と並ぶ歴代2位の数字だ。ちなみに1位は94-95シーズンのアラン・シアラー&クリス・サットン(ニューカッスル)の“SASコンビ”が挙げた13ゴールで、今季中に最多記録を更新するのは確実だろう。
リバプール戦では機能不全にされたホットラインだが「パーク・ザ・バス&カウンター」を体現するうえで、彼らの存在は大きな強みだ。
一方でモウリーニョは選手やフロントとたびたび対立し、内部崩壊を起こしてきたことも事実だ。
レアルではクリスティアーノ・ロナウドやイケル・カシージャスら、ユナイテッドではポール・ポグバとの確執が噂され、チェルシーではチームドクターのイバン・カルネイロ氏を批判して騒動となった。
不遇のデル・アリらの処遇は?
トッテナムでは現状、ダニエル・レビー会長や選手らと良好な関係でいるが、現地メディアで構想外と報じられているデル・アリなど、現状に満足していない選手を含めてどうマネジメントしていくかは必見だ。
トッテナムをプレミアリーグ初制覇に導くことができれば、間違いなくクラブ史に残る英雄となり、改めて監督として名を上げることができる。その意味でもリバプールに敗れ、過密日程に差し掛かる今、チームをもう一度盛り立ててる姿に期待したい。
「スペシャル・ワン」が今もなおスペシャルであるか否かは、モウリーニョ自身にかかっている。